研究課題/領域番号 |
20K17088
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
和田 健斗 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (10865695)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心不全 / DNAメチル化 / エピジェネティクス / 心臓マクロファージ |
研究実績の概要 |
本研究では、マウスの心肥大・心不全モデルを用いて、細胞ソーティングシステムにより心臓組織からマクロファージを単離してDNAメチル化模様を明らかにすることである.そして本研究により、心臓マクロファージのDNAメチル化が新たな心不全治療のターゲットとなるか検討することを目的とした. まず大動脈縮窄による圧負荷モデルマウスを作成し,エコーによる心機能を評価したところ大動脈縮窄術(TAC)による圧負荷モデルを作成した。手術1週後、シャム手術(Sham)群と比較して、心エコーでの心室中隔壁厚の有意な増加および心重量/体重比の増加を認めるが左室短縮率の低下を認めない「肥大心」を呈していた。4週後では左室短縮率の有意な低下と肺重量の増加を認め、非代償性の「不全心」を呈していた。 本研究ではマクロファージのDNAメチル化異常の病的意義を明らかにすることで、心臓マクロファージのDNAメチル化が心不全の新たな治療ターゲットとなるか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全における心臓マクロファージのDNAメチル化解析としてマウスの心臓を摘出してコラゲナーゼ処理後、マクロファージ特異的抗体(抗CD11b抗体)を用いて、フローサイトメトリー(FACS)によりマクロファージを選択的にソーティングする。単離したマクロファージからDNAを抽出し、抗メチル化シトシン(5mC)抗体によるELISAにより5mCレベルを解析し、肥大心および不全心におけるマクロファージの全体のDNAメチル化の程度現在解析中である。さらに、特異的なメチル化部位の同定のため、抗5mC抗体によるDNA免疫沈降によりメチル化DNAを特異的に回収する。PCR増幅でライブラリを作製し、次世代シーケンサーによりプロモーター部位を中心に網羅的に解析を行っている。必要に応じて、バイサルファイトシーケンシングによる解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、マクロファージを主体とする骨髄由来免疫細胞のエピジェネティクスに着目することで、拡張性心不全や難治性の心筋炎に対する新しいメカニズムの解明に貢献するものと考えている。さらには、近年のトピックスである「クローン性造血」においても、造血幹細胞レベルでのDNAメチル化異常が心不全の病態に関与しているかについても検討できる。上記の解析を進める他,単離したマクロファージからRNAを抽出し、DNAメチル化が確認された遺伝子についてリアルタイムRT-PCRで遺伝子発現の解析を行い,NAメチル化と遺伝子発現の関連性について検討していく.
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