研究課題/領域番号 |
20K17090
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
矢西 賢次 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10793341)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 末梢動脈疾患 / 積極的脂質低下療法 / 下肢血管内プラーク / NIRS-IVUS |
研究実績の概要 |
<研究の目的> 末梢動脈疾患は、虚血症状に応じ、薬物治療、運動療法、経皮的血管形成術やバイパス術による血行再建術が症状の改善に有用であることが報告されている。ただ、ステントや薬剤溶出性バルーンによる血行再建術の成績が多数明らかにされているが、再狭窄率(再血行再建率)は 20~30%と依然高い。一方、ハイリスクな冠動脈疾患症例に対しては、LDLコレステロール 70mg/dL以下を目標にするよう日本でもガイドライン化されたが、積極的脂質低下療法が末梢動脈疾患に与えるプラーク退縮や安定化効果に対する報告は非常に少なく、末梢動脈疾患に対しては十分なコンセンサスが得られていない。本研究の目的は、末梢動脈疾患における積極的脂質低下療法が下肢血管のプラーク退縮・安定化に与える効果を、脂質に富む不安定プラークの検出に優れているNIRS(近赤外線分光法)-IVUSを用いて検討し明らかにするのが目的である。
<研究実績> これまで末梢動脈のプラーク量をNIRS-IVUSを用い定量化した報告がなく、本研究を進めるにあたり、まずは末梢動脈領域(腸骨及び浅大腿動脈)におけるプラーク量をNIRS-IVUSを用いて測定するpilot試験を行うこととした。経皮的血管形成術の適応のある末梢動脈疾患患者に対し、血行再建術時にNIRS-IVUSを使用し、治療前後の下肢プラーク量の測定を行った。Pilot試験として10症例を目標にしており、令和2年度には5症例の測定を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本学はCOVID-19感染患者を積極的に受け入れ、循環器内科も重症患者(人工心肺症例)の加療を行っている。そのため、令和2年度から待機入院患者に対する入院縮小や手術制限が非常に厳しくなり、令和2年度はpilot試験の評価を行うための症例数の確保が十分にできなかったため、研究に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19に対するワクチン接種が進めば感染者の減少が期待でき、従来通りの医療に戻ることが期待できる。また、令和2年度から末梢動脈疾患患者のリクルートを本学内外で積極的に行っている。まずはpilot試験にて末梢動脈疾患患者の一般的なプラーク量を定量化し評価したい。その後、経皮的血管形成術後から積極的脂質低下療法を行い、脂質低下療法前後で、治療対象下肢血管内のプラーク量をNIRS-IVUSを使用して評価する試験を開始していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大に伴い、研究に遅延が生じ、pilot試験を行うための症例数確保ができなかった。そのため次年度へ評価する症例が持ち越されるため、次年度使用額が生じた。下肢血管内プラーク量を評価するNIRS-IVUSに対する物品費用であり、次年度初期に使用する予定である。
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