研究課題
背景:急性心筋梗塞(AMI)に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)は生命予後を改善したが、PCIにて責任病変を再開通しても末梢の血流が保てない、いわゆるno-reflow現象が生じる場合がある。No-reflow現象例は予後不良のため、その予測方法が求められてきた。近年、no-reflowを予防する末梢保護デバイスから回収した内容物にcholesterol crystals (CCs)が多く含まれていることが報告された。そこで我々は、光干渉断層法(OCT)を用いて、AMI患者の責任病変におけるCCsの存在とPCIに伴うno-reflow現象の関連について検討した。方法:PCIを行った182人のST上昇型AMI(STEMI)患者を、PCI後のTIMI分類に基づいて、No-Reflow群(n = 31)とReflow群(n = 151)の2群に分類した。No-reflow現象の予測因子に対する多変量解析を行った。結果:責任病変部のCCsは、 No-Reflow群でより高頻度に認められた(No-reflow 77% vs. Reflow 53%; p = 0.012)。多変量解析では、CCsの数、脂質コアの角度(lipid arc)そして入口部病変がno-reflow現象の独立した予測因子であった。Lipid arc>139度かつCCs数>12個の条件を満たす病変は、感度48%、特異度93%、正確度86%で、no-reflow現象の発生予測が可能であった。結語:STEMI患者の責任病変におけるCCsは、PCIに伴うno-reflow現象発生と関連していた。Lipid arcにCCsの数を組み合わせる事で、従来のlipid arc 単独よりさらに高い精度で、no-reflow現象の発生が予測可能で、CCsの検出は臨床的に有用である。
2: おおむね順調に進展している
コレステロール結晶がno-reflow現象の原因となり得ることを示し論文化した。
3D-OCT解析に必要なコレステロール結晶を有するプラーク病変を集める。
当初の予定よりヒト冠動脈サンプルを用いた実験の進捗が遅れているため費用を節約できた。
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Int J Cardiol Heart Vasc.
巻: 38 ページ: 1-7
10.1016/j.ijcha.2022.100953.