研究課題/領域番号 |
20K17111
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
秋田 敬太郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (70645762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肥大型心筋症 / 心不全 / 心房細動 / リスクモデル |
研究実績の概要 |
肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic Cardiomyopathy)の病態は多様性に富んでおり、自然歴も様々である。軽症例では生涯に渡り無症状で経過するが、息切れ・動悸等で生活の質が低下する症例も存在する。さらに、急性心不全や心房細動に伴う脳塞栓症など、生命に関わる合併症を発症する場合もある。HCMの最も重大なイベントである心臓突然死に関しては、リスクスコアが提唱され、植え込み型除細動器の適応症例につき検討が進んでいる一方で、心不全や塞栓症の発症リスクについては十分な層別化がなされていない。本研究では、HCM症例につき多施設データベースを作成し、生活の質、症状の程度、心房細動・睡眠呼吸障害の合併率を調査した上で 、予後についてフォローアップを行う。これにより、HCM患者の臨床所見と、生活の質や症状との相関を評価し、さらに将来的な心不全入院や脳塞栓症のリスクを予見するシステムの構築を行う。 静岡県内の研究協力病院、浜松医科大学医学部附属病院、聖隷浜松病院、浜松医療センター、磐田市立総合病院、静岡市立静岡病院、聖隷三方原病院、浜松赤十字病院、富士宮市立病院、順天堂大学医学附属静岡病院、静岡県立総合病院、高仲循環器クリニック、JA静岡厚生連遠州病院(計12施設、登録順)で患者登録を行う。研究協力施設でHCMと診断を受けた患者のうち、同意書が取得できた症例を登録する。 登録時に、心不全症状や薬物療法内容、非薬物治療介入歴と、各種検査所見(血液検査・心電図・心エコー・ホルター心電図・心臓MRI・睡眠時無呼吸検査・QOL質問票など)を収集する。登録後1年ごとに、症状の変化、治療内容の変更、各種検査(血液検査・心電図・心エコー・ホルター心電図・睡眠時無呼吸検査)を収集するとともに、予後およびイベント(心不全入院、脳卒中、心房細動発症など)について調査する。最大5年間の追跡を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始より5年間で500症例の登録を目指している。2018年2月より患者登録を開始し、2021年4月末現在で296例の登録が完了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も患者登録を継続し、500症例の登録を目指す。各症例につき最大5年間のフォローアップおよび予後調査を行う予定である。研究協力施設数は徐々に増加しており、今後も協力可能な施設があった場合は、当該施設にて倫理申請を受けた上で患者登録を開始頂く。
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次年度使用額が生じた理由 |
レジストリ登録時の情報収集ならびにフォローアップ時の情報収集に関して、一部外部委託機関(株式会社 総合医科学研究所)への業務委託を行っているが、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の発出があり、都道府県間の移動が制限されているため、その期間の情報収集回数が減少している。今後都道府県間の移動が緩和されれば、情報収集回数を増加させる予定であり、その委託費の一部を科研費から拠出する予定である。
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