肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic Cardiomyopathy)の病態は多様性に富んでおり、自然歴も様々である。軽症例では生涯に渡り無症状で経過するが、息切れ・動悸等で生活の質が低下する症例も存在する。本研究では、HCM症例につき多施設データベースを作成し、生活の質、症状の程度、心房細動・睡眠呼吸障害の合併率を調査した上で、予後およびその他のイベント(心不全再入院、心房細動発症、脳塞栓症発症、睡眠呼吸障害の増悪など)についてフォローアップを行う。これにより、HCM患者の臨床所見と、生活の質や症状との相関を評価し、これまでリスク層別化が十分にされてこなかった、心不全入院や脳塞栓症のリスクを予見するシステムの構築を行う。現在、静岡県内の研究協力病院、浜松医科大学医学部附属病院、聖隷浜松病院、浜松医療センター、磐田市立総合病院、静岡市立静岡病院、聖隷三方原病院、浜松赤十字病院、富士宮市立病院、順天堂大学医学附属静岡病院、静岡県立総合病院、高仲循環器クリニック、JA静岡厚生連遠州病院(計12施設、登録順)で患者登録を行っており、2021年8月末現在で338症例の登録が完了している。500例を目標に2022年10月まで患者登録を継続し、各症例で5年間のフォローアップを行い、予後およびイベントについて調査する。研究代表者の海外留学中も、研究分担者によって新規登録およびフォローアップは継続する。
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