研究実績の概要 |
我々は、今回早期再分極症候群やそれと類似したブルガダ症候群などの病型を取る3家系に、3種類のSNTA1遺伝子異常を同定したため、これに対する機能解析を本研究にて行うこととした。SNTA1プラスミドに対する変異の導入はすでに終わっており、また、培養細胞HEK293を用いたパッチクランプ 法による解析も終了した。対象としていたSNTA1の変異はp.G186S, p.R373C, p.R500Cの3種類だが、これらを心臓ナトリウムチャネルSCN5Aと共発現させた細胞で、ナトリウム電流の変化が観察されたのはG186Sのみであった。SNTA1 p.G186SとSCN5Aを発現している細胞ではpeak電流の減少が観察されたため、これに対してさらにiPS細胞などを用いた追加の機能解析を実施する方向で現在準備中である。一方のp.R373C, p.R500Cの二つの変異については、①同定されたSNTA1変異が病態と関係ないものである可能性、②培養細胞での強制発現系が機能変化を評価するのに適していない可能性、の2種類が考えられる。まずは、①である可能性を念頭に置き、この2変異が同定された家系の遺伝子サンプルをエクソーム解析へ回し、他の候補原因遺伝子異常が同定されないか検索する予定としている。関連する学会発表として、ブルガダ症候群患者の遺伝子検索の過程で併せて同定したSCN5Aの遺伝子変異についての解析結果を第85回日本循環器学会学術集会(2021)にて報告した。
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