研究課題
本研究では、Brugada症候群とそれに類似した病型をとる家系に同定されたイオンチャネル結合タンパクαシントロフィンの遺伝子、SNTA1の遺伝子変異を解析してきた。しかし、培養細胞系(HEK293)で、同定された変異がもたらすNa電流の変化がわずかであったことと、患者からのiPS細胞作成の協力が得られなかったことから、iPS実験自体は実施しない方針となった。そこで、これに並行して行っていたSNTA1以外のチャネル結合タンパクの検索でQT延長家系に同定されたカルモジュリンの遺伝子CALM3の変異の機能解析にリソースの一部を振り分けた。カルモジュリンの実験では、1)カルモジュリン変異 p. N138Kは既報のCaM変異同様L型カルシウム電流の不活性化を障害する 2)変異カルモジュリンのカルシウム結合能は低下しているが既報の変異に比べると程度としては軽く、それがこの変異が見つかったQT延長家系が重症化しにくかった原因の一つと推察される 3)カリウム電流にも影響を与え、IKs電流増加に寄与する、の主に3つの結果が得られた。これらの結果をまとめ、2022年3月に論文として上梓した。(Kato et al Circ Arrhythm Electrophysiol. 2022 Mar;15(3):e010572)並行して実施していた遺伝性不整脈家系の網羅的検索で新たにBrugada症候群家系にSCN5A遺伝子変異を同定し、これが、Splicing異常を引き起こすことが想定された。これに対して、別個にMinigeneを用いたSplice reporter assayを行っており、anti-sense核酸を用いたSplicingの修正を行うことで、SCN5Aの野生型cDNAの発現量が増加することを確認した。こちらに関しては、学会発表を行い、現在論文として投稿準備中である。
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