薬剤溶出性ステントの進化によって、経皮的冠動脈形成術 (PCI)は安定した成績が得られるようになったが,多枝病変例や糖尿病合併例等の複 雑病変では冠動脈バイパス術に匹敵する臨床成績が示されていない。一方で、日本循環器学会のガイドラインにおいて、血管内イメージングガ イドによるPCIが推奨されており、光干渉断層 (OCT)は血管内超音波よりも高解像度であり、詳細に冠動脈内を観察できる。本研究では、人工 知能による機械学習を用いて、OCTのPCI前後の解析情報、患者情報より、心血管死亡、再血行再建、ステント血栓症の新しい予測因子を見出し 、PCIにおける今後のよりよい治療戦略の構築を目指しこの研究を計画した。大阪大学病院でのOCT guided PCIで施行した症例で102例のステント留置前、後のOCT画像を機械学習解析で試行した。PCI前後のOCT所見を解析し、ステント留置後の拡張不全と臨床的予後、具体的には再血行再建との関連が示唆された。また、ステント拡張不全と留置前のOCT解析での石灰化の関係を解析し、石灰化厚、石灰化長がステント留置後の拡張不全と関連した。今後はこの機械学習での石灰化解析が臨床的に有用であるがどうかを判別することが重要である。臨床的に有用性を持つ上では、OCTを施行した後、すぐにこの機械学習できるシステムが必要である。今後は前向きにOCT画像を集めてさらなる解析を施行する予定である。
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