1) 「職場高血圧」の特徴やリスク 腕時計型ウェアラブル血圧計(HeartGuide:オムロンヘルスケア株式会社製)を用いて、就労者を対象に、職場を含む日中自由行動下における血圧を測定した研究データを用いて血圧上昇要因を解析したところ、職場に限らず日常生活の中で、ネガティブな感情(悲しい 、怒り、緊張 、不安)やストレスを感じることで血圧が上昇していた。ストレスに関しては、程度に比例して血圧が上昇していた。(第43回日本高血圧学会総会[2021年10月16日]発表、Hypertension Res. 2022: in press.)ストレスにさらされる機会の多い就労者においては、ストレスによる血圧上昇の程度や頻度が顕著な可能性があることが示唆された。 2) 「正常高値血圧」「高値血圧」のリスク評価 J-HOP worksite 研究において、登録1年後に家庭血圧および職場血圧を測定した39名のデータを用いて登録時と1年後の血圧変化を検討した。登録時に「正常血圧」、「正常高値血圧」または「高値血圧」、「高血圧」のいずれの群においても1年後に有意な血圧変化は見られなかった。今後、より多くの対象者集団でより長期にわたって経時変化をモニターする必要がある。 3) ハイリスク患者の「昼間高血圧」 治療中高血圧患者2322名を対象に、同一血圧計を用いて家庭血圧と24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施したHI-JAMP研究のデータを用いて、ABPMによる「昼間高血圧」を呈する患者の診察室血圧および家庭血圧のコントロール状況を明らかにした。本解析結果は、国際高血圧学会2022もしくは第44回日本高血圧学会総会に演題投稿予定である。また、腕時計型ウェアラブル血圧計を用いた研究データの解析から、昼間血圧のピーク値および職場血圧のピーク値が臓器障害に関連していることが示された。
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