研究課題/領域番号 |
20K17130
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
井口 成一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60792794)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感染性心内膜炎 / 感染性大動脈瘤 / 次世代シーケンサー / メタゲノム解析 / 起因微生物診断 / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
様々な微生物による感染症診断には古典的な培養検査が欠かせない。しかし臨床的に明らかに感染性心内膜炎、感染性大動脈瘤が存在してもその起因微生物が診断できないケースは少なくない。一方で抗菌薬の選択・投与期間が変わりうるため、微生物学的診断の確定は非常に重要である。本研究は困難なことがある感染性心内膜炎および感染性大動脈瘤患者の微生物学的診断を、次世代シークエンサーによる無菌検体の網羅的解析で明らかにしようとするものである。 本年度は想定外のCOVID-19による社会情勢の劇的な変化、また研究代表者自身が直接関与する業務に携わっていることから、本研究推進に支障が生じた。そのため本年度は検体の収集および症例プロファイルのデータベース化、パイプライン構築、テストラン解析とそれに基づくプログラムやデータベースの適正化といった研究周辺の環境整備に留まることとなった。次年度以降は業務負担割合の変更を行うことで、本格的な解析とデータ処理を開始できる見込みである。 起因微生物診断がつく症例がどの程度存在するか、その診断は蓋然性があるか、治療への介入が可能かといった点や、従来的な診断手法である培養・感受性検査、16Sおよび18S rRNAのPCRによる診断結果と対比した検査特性、未知の病原微生物の発見、薬剤耐性や病原性の推定などについて明らかにしていきたいと考えている。またCOVID-19下の社会情勢次第でもあるが国内外学会で知見を発信し、論文化の礎としていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による社会情勢の劇的な変化、また研究代表者自身が直接関与する業務に携わっていることから、本年度の本研究推進に支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については業務負担割合の変更等を行い、本研究推進へ支障がない環境を構築する。そのため次年度以降は本格的な解析とデータ処理を開始できる予定である。 具体的には、感染性心内膜炎および感染性大動脈瘤患者から無菌的に採取した検体を試料とし、DNA抽出、NGSによる塩基配列決定、ヒトゲノム除去、メタゲノム解析・クラスタリング解析による起因微生物同定をする。また、起因微生物と思われる大量の配列情報が得られた場合はゲノムアセンブルによりcontigを作成し、遺伝子情報から分子疫学的解析、耐性遺伝子解析、病原性遺伝子解析などを適宜追加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による社会情勢の劇的な変化、また研究代表者自身が直接関与する業務に携わっていることから、本年度の本研究推進に支障が生じた。次年度については業務負担割合の変更等を行い、本研究推進へ支障がない環境を構築できる予定である。 上記により本年度購入予定であった消耗品等の購入を次年度に行う予定である。
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