うっ血性心不全患者において薬物治療に抵抗性を示す患者がしばしば見受けられる。うっ血の存在は生活の質を低下させるのみならず心不全患者の予後を著明に低下させることが知られている。その際に、非薬物治療の一つとして、非侵襲性陽圧換気治療が検討される。この治療の特徴として、侵襲的な介入はなくむしろ患者に心地よさを与えながらにして陽圧換気によって前負荷・後負荷を軽減させ、心拍出量を増加させ、しいては予後改善に結び付く点が挙げられる。
一方で、比較的圧設定が高い場合はむしろ前負荷が軽減してしまい血行動態が悪化する懸念が至適されている。従って、個々の患者に対して適切な圧設定へ調節することによって、過度な前負荷の低下から血行動態の悪化を招く事なく、適切に心拍出量を増加させて予後を改善できるのではないかと考えられている。
そのために、個々の患者においてランプテストを行い、デバイスの圧設定を最適化したうえで管理を行う方法論を実践している。具体的には、デバイスのそれぞれの圧設定における心拍出量を別のデバイスを用いて推定し、心拍出量が最大になるような圧設定に再設定を行った。この設定で観察期間中に管理を行った。一方で、圧設定を行わなかった患者群の中から年齢を統計的に一致させた患者をコントロール群に設定して、両群で予後を比較検討した。観察期間中は、コントロール群において死亡や心不全の再燃による再入院が多い傾向があり、当初の仮説を裏付ける結果であった。
|