本研究の目的は、致死的遺伝性不整脈の個別改良の実現を目指し、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を利用したQT延長症候群やカテコラミン誘発性多形性心室頻拍の迅速かつ効率的な機能解析系を構築することを目的としている。 従来の方法では不可能であった、致死的不整脈疾患で検出された病的意義不明遺伝子の機能解析をiPS細胞由来心筋を用いて実現できることを明らかにするため、下記の通りの研究計画を予定していた。 令和2年度に、解析対象とする病的意義不明遺伝子変異を抽出し、リコンビナーゼ媒介カセット交換法を用いることで迅速かつ効率的に遺伝子変異をiPS細胞に導入するためのプラットフォームを構築する。その上で、目的とする遺伝子変異を有するiPS細胞株を作成することを計画した。また、令和3年度には、遺伝子変異を有するiPS細胞由来の分化心筋を利用した表現型解析系の構築を実現することを計画していた。 しかしながら、本研究については研究代表者が令和2年度8月より米国ボストン小児病院へ留学することとなったため本研究を一旦中断させていただき、帰国後に本研究を再開、継続する予定としている。 令和2年度8月時点で、前述のリコンビナーゼ媒介カセット交換法を利用して遺伝子変異を導入するために必要な遺伝子配列を有するiPS細胞を入手し培養保存まで実施した。帰国後に研究を再開できるようになった場合、このiPS細胞に遺伝子変異を導入し、機能解析系構築を遂行していく予定としている。
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