研究実績の概要 |
本研究は血圧変動の制御機構をより簡便に評価する指標、Baroreflex Index(以下BRI)の臨床応用を目指すものである。BRIは連続動脈圧を周波数解析して求められるPower spectrum density(以下PSD)から算出される。本年度は動物実験及び臨床研究を行った。8週令のWKYラットにおいて動脈圧反射機能を持つラットモデルを作成し、テレメトリーで記録した12時間血圧から算出したBRIを基準として、解析手法変更の時短化への影響を検証した。結果として、15分程度の記録時間で従来の手法と同等の解析が行えることが示された。また、高血圧自然発症ラット(SHR)、高血圧性心不全ラット(Dahl-salt sensitive )において同様の手法を用いてBRIを算出し、その推移を検証した。病態モデルにおいては病態の進行に伴い、BRIが低下することが確認された。臨床研究として56人の健常人(28~85歳)において30分間非侵襲的連続を記録し、そのPSDを比較した。加齢に伴い動脈圧反射機能は低下することが知られており、本検証では同時にPSDの勾配が急峻化する(BRIが低下する)ことが確認され、同研究成果を下記に報告した。 Aging steepens the slope of power spectrum density of 30-minute continuous blood pressure recording in healthy human subjects (Plos one 2021 Mar 18;16(3):e0248428., PMID: 33735286)
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