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2020 年度 実施状況報告書

経カテーテル大動脈弁留置術における血栓弁発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17160
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

和田 輝明  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00584830)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード経カテーテル大動脈弁留置術 / 冠血流予備能
研究実績の概要

大動脈弁狭窄症(AS)に対する治療として、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が普及しつつあるが、TAVI特有の問題が存在する。中でも血栓弁は患者予後に関わる重要な問題である。我々は、①弁葉被膜損傷TAVI弁植え込みブタモデルを用い、急性期血栓弁はTAVI弁の被膜損傷による血小板血栓形成が主因であること、②前向きにフォローされたTAVI弁植え込み患者の剖検例を病理学的に検討し、慢性期血栓弁はTAVI弁-Aortic root間での組織応答による凝固系血栓が主因であることを明らかにしようと考えた。しかし、TAVI後血栓弁症例が少なく、また治療技術の進歩によりTAVI周術期死亡例が非常に少なく、TAVI弁植え込み患者の剖検例の病理学的検討を実施できていない。
そのため、我々は代替研究として、以下の研究を実施している。ASでは、冠血流予備能(CFR)が影響され、CFR低下は予後不良の指標であると報告される。TAVI直後や6ヶ月後のASのCFRの変化を検討した報告はみられるが、低下したCFRがTAVI 1年後に改善するかは明らかにされていない。本研究の目的は、駆出率が保たれCFR低下した高度AS例におけるTAVI 1年後にCFRが改善しているか検討することである。TAVIを施行された高度AS連続例を対象として、除外基準[心房細動、陳旧性心筋梗塞、冠動脈バイパス術後、左前下行枝(LAD)有意病変、中等度以上の僧帽弁疾患、人工弁置換術後、左室駆出率<50%、術前CFR>2.2]に該当しない症例において、経胸壁心エコー図で計測されるLADの薬物負荷によるCFRを、TAVI術前、術翌日および1年後で比較検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

TAVI弁被膜損傷ブタモデルの血栓弁形成が想定外に認められず、実臨床においてもTAVI後血栓弁症例が少なく、また治療技術の進歩によりTAVI周術期死亡例が非常に少なく、TAVI弁植え込み患者の剖検例の病理学的検討を実施できていないため。

今後の研究の推進方策

TAVI後血栓弁症例が少なく、また治療技術の進歩によりTAVI周術期死亡率低下のため、TAVI弁植え込み患者の剖検例の病理学的検討を実施できていないことから、我々は代替研究として、以下の研究を実施している。ASでは、冠血流予備能(CFR)が影響され、CFR低下は予後不良の指標であると報告される。TAVI直後や6ヶ月後のASのCFRの変化を検討した報告はみられるが、低下したCFRがTAVI 1年後に改善するかは明らかにされていない。本研究の目的は、駆出率が保たれCFR低下した高度AS例におけるTAVI 1年後にCFRが改善しているか検討することである。TAVIを施行された高度AS連続例を対象として、除外基準[心房細動、陳旧性心筋梗塞、冠動脈バイパス術後、左前下行枝(LAD)有意病変、中等度以上の僧帽弁疾患、人工弁置換術後、左室駆出率<50%、術前CFR>2.2]に該当しない症例において、経胸壁心エコー図で計測されるLADの薬物負荷によるCFRを、TAVI術前、術翌日および1年後で比較検討した。本研究の結果はヨーロッパ心臓病学会での演題発表を予定しており、論文作成中である。

次年度使用額が生じた理由

TAVI後血栓弁症例が少なく、また治療技術の進歩によりTAVI周術期死亡率低下のため、TAVI弁植え込み患者の剖検例の病理学的検討を実施できていないことから、次年度使用額が生じた。我々は代替研究として、高度AS例におけるTAVI 1年後に冠血流予備能(CFR)が改善しているか検討しようと考えた。TAVIを施行された高度AS連続例を対象として、経胸壁心エコー図で計測される左前下行枝(LAD)の薬物負荷によるCFRを、TAVI術前、術翌日および1年後で比較検討した。本研究の結果はヨーロッパ心臓病学会での演題発表を予定しており、論文作成中である。本代替研究において、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用を予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Impact of instantaneous wave-free ratio on graft failure after coronary artery bypass graft surgery2021

    • 著者名/発表者名
      Wada Teruaki、Shiono Yasutsugu、Kubo Takashi、Honda Kentaro、Takahata Masahiro、Shimamura Kunihiro、Yuzaki Mitsuru、Tanimoto Takashi、Matsuo Yoshiki、Tanaka Atsushi、Hozumi Takeshi、Nishimura Yoshiharu、Akasaka Takashi
    • 雑誌名

      International Journal of Cardiology

      巻: 324 ページ: 23~29

    • DOI

      10.1016/j.ijcard.2020.09.046

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 冠動脈バイパス術後のグラフト不全に対するiFRの影響2021

    • 著者名/発表者名
      和田 輝明, 塩野 泰紹, 寺田 幸誠, 東岡 大輔, 江守 裕紀, 高畑 昌弘, 藤田 澄吾子, 柏木 学, 嶋村 邦宏, 黒井 章央, 本田 賢太朗, 谷本 貴志, 久保 隆史, 田中 篤, 穂積 健之, 赤阪 隆史
    • 学会等名
      第29回日本心血管インターベンション治療学会
  • [学会発表] A case of simultaneous transcatheter aortic valve implantation and coronary artery bypass grafting for aortic stenosis with porcelain aorta2021

    • 著者名/発表者名
      和田 輝明, 松尾 好記, 西 貴弘, 寺田 幸誠, 東岡 大輔, 江守 裕紀, 片山 陽介, 高畑 昌弘, 藤田 澄吾子, 柏木 学, 塩野 泰紹, 嶋村 邦宏, 黒井 章央, 谷本 貴志, 久保 隆史, 田中 篤, 穂積 健之, 赤阪 隆史
    • 学会等名
      第29回日本心血管インターベンション治療学会
  • [学会発表] Impact of instantaneous wave-free ratio on graft failure after coronary artery bypass graft surgery2020

    • 著者名/発表者名
      和田 輝明,塩野 泰紹,寺田 幸誠,東岡 大輔,江守 裕紀,片山 陽介,高畑 昌弘,藤田 澄吾子,柏木 学,嶋村 邦宏,黒井 章央,湯崎 充,本田 賢太朗,谷本 貴志,松尾 好記,久保 隆史,田中 篤,穂積 健之,西村 好晴,赤阪 隆史
    • 学会等名
      第34回日本心血管インターベンション治療学会近畿地方会
  • [図書] PCIエキスパートになるための28カ条2021

    • 著者名/発表者名
      中村 正人
    • 総ページ数
      182
    • 出版者
      メジカルビュー社
    • ISBN
      978-4-7583-1973-7

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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