肺動脈性肺高血圧症(PAH)は難治性循環器疾患であり、低浸透率だが原因遺伝子としてBMPR2が発見され10年以上が経過した。しかし、BMPR2変異が発症・表現型に繋がる過程、性差や妊娠等の生理的因子が発症に深く関与する機構は未解明のままで、自然発症疾患モデルも確立されていない。我々は血管疾患に共通する可能性の高い感受性遺伝子RNF213のHot-Spot変異をPAH患者に高頻度に見出し、原因遺伝子と感受性遺伝子の相乗作用による発症という仮説に至った。これを検証するためBMPR2とRNF213の両者にHot-Spotに変異を持つマウスをCRISPR/Cas9システムを用いて作製した。これまでに、BMPR2変異マウスを用いたシングルセル解析によって発症機序の解明に繋がる成果を得ている。また、RNF213変異マウスを用いた検証によって、血管病発症に至るRNF213の下流シグナル経路の解明に繋がる成果を得ている。
|