研究課題/領域番号 |
20K17165
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
足立 孝臣 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 講師 (20637277)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | miR-335 / 血管内皮細胞 / 大動脈 / CHFR / RNAシークエンシング |
研究実績の概要 |
本研究は、動脈硬化モデルマウスにおいて、miR-335を負に制御することで、動脈硬化を抑止することを目的とする。これを明らかにするため、本年度の研究計画として、(1)マウス大動脈におけるmiR-335の局在を明らかにすること、(2)miR-335によるNFkB活性化の機序を解析すること、を立案した。 まず第一に、申請者は、研究計画に則り、マウス大動脈において、miR-335に対するアンチセンスプローブを用いて、in situ hybridizationを行った。その結果、大動脈におけるmiR-335は、血管内皮細胞に局在することを明らかにした。さらに、複数の組織(大動脈・骨格筋・脂肪組織)において、血管内皮細胞を単離し、miR-335の発現量を解析したところ、血管内皮細胞以外の細胞に比して、miR-335は優位に発現しており、miR-335が血管内皮細胞にドミナントに存在することが示された。 次に、申請者は、細胞実験において、血管内皮細胞において、miR-335 mimicを用いて、miR-335を強制発現した。これらの細胞と、対照群細胞について、RNAシークエンシングを施行し、遺伝子発現変化を網羅的に解析した。その結果、miR-335強制発現細胞群において、有意に発現が減少する遺伝子群を発見した。さらに、miR-335の遺伝子配列から、3'UTRにおける結合部位を予測したところ、miR-335の直接的ターゲットとして、Checkpoint with Forkhead and Ringfinger (CHFR)遺伝子を同定した。さらに、miR-335強制発現により、血管内皮細胞において、CHFR発現が有意に減少することを、quantitative PCRにより確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、やや余裕を持った計画を立案していたため、今のところ問題なく進行している。予算執行状況については、新型コロナウイルス蔓延に伴う、米国の共同研究者とのやりとりの遅れがあり、少し遅れているが、3年度に取り戻せる範疇にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、動脈硬化モデルマウスを用いて、miR-335の動脈硬化における関与を明らかにする。具体的には、ApoE-KOおよびApoE/miR-335DKOマウスに対し、16週間の高脂肪食を与え、動脈硬化を誘発する。高脂肪食終了後、大動脈を単離し、En face Oil red O染色により、全大動脈での動脈硬化領域を定量化し比較する。さらに、上記とは異なる動脈硬化モデルとして、4週間の高脂肪食に加え、浸透圧ポンプを用いたアンギオテンシンⅡ皮下持続投与を行い、動脈硬化を誘発し、上記と同様に評価する。 また、昨年度に得られた、miR-335の直接的ターゲット遺伝子である、CHFRについて、血管内皮細胞を用いた細胞実験を行い、その機能を明らかにする。具体的には、CHFRの強制発現ならびにノックダウンを行い、NFkBの活性化を観察する。 現状としては、計画通り遂行できているため、本年度も、実験計画に則り、遅れが出ないように実験を遂行する。特に本年度は、動物実験を行う必要があるため、物品や実験動物の確保を計画的に行うことで、スムーズな実験計画遂行を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウイルス蔓延により、学会出張などが全てキャンセルとなり、旅費使用が一切なくなった。また、令和2年度に予定していた、実験動物購入などが遅れており、それらにかかる費用が、令和3年度に繰越となっている。令和3年度は、2年度に購入する予定であった、物品及び実験動物を購入する予定である。
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