研究課題/領域番号 |
20K17170
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
天野 雅史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10826134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Vector flow mapping / 運動負荷心エコー図検査 / Energy loss / Kinetic energy / Aortic regurgitation |
研究実績の概要 |
日常臨床で取得した心エコー図検査動画を用いてVector flow mapping計測が可能である解析ソフト・Echo VFM並びにIVPG(Cardio flow社)を購入し、GE社製の心エコー装置で取得した画像からVector flow mappingが計測できる体制を整えた。運動負荷はGE社製E95を用いて施行しており、運動負荷施行症例の画像は全て解析できる状況となった。 次に、運動中のVector flow mappingに関するデータはこれまでないため、まずは研究責任者並びに共同研究者による健常データの取得並びに解析を施行した。10名の健常でデータから、安静時・低負荷時・ピーク時における各自相におけるEnergy loss(EL)並びにKinetic enegy(KE)値を算出し、それぞれの平均値並びに最大値を算出した。同時に運動負荷における健常データとして、左室global longitudinal strain・左房reservoir strain・右室free wall strain値も算出し、Energyloss並びにKinetic enegy値と共に健常ベースラインデータとして用いることができる状況を整えた。 現時点で運動負荷心エコー図検査に関するデータが不足しているのは大動脈弁逆流症(AR)であり、AR症例では運動負荷による左室contractile reserve(CR)が重要とされているが、その際に左室にかかる負荷に関する背景データはない。これを運動負荷前後のEnergy loss並びにKinetic enegyを計測することでCR有無との関連について解析する方針とし、CR(+)6例とCR(-)15例、健常例10例で比較検討した。結果、CR(+)では運動によるEL/KEの上昇は健常人と同様に軽度であったが、CR(-)群ではEL/KE共に上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日常臨床で取得した心エコー図検査動画を用いてVector flow mapping計測が可能である解析ソフト・Echo VFM並びにIVPG(Cardio flow社)を購入し、GE社製の心エコー装置で取得した画像からVector flow mappingが計測できる体制を整えた。運動負荷はGE社製E95を用いて施行しており、運動負荷施行症例の画像は全て解析できる状況となった。 次に、運動中のVector flow mappingに関するデータはこれまでないため、まずは研究責任者並びに共同研究者による健常ータの取得並びに解析を行なった。10名の健常でデータから、安静時・低負荷時・ピーク時における各自相におけるEnergy loss(EL)並びにKinetic enegy(KE)値を算出し、それぞれの平均値並びに最大値を算出した。同時に運動負荷における健常データとして、左室global longitudinal strain・左房reservoir strain・右室free wall strain値も算出し、Energyloss並びにKinetic enegy値と共に健常ベースラインデータとして用いることができる状況を整えた。 VFMが一番有用と思われる弁膜症である大動脈弁逆流症に対して、予後につながるとされる左室Contractile reserve (CR)の有無によるEL/KEの推移に関して研究し、CR(+)では運動によるEL/KEの上昇は健常人と同様に軽度であったが、CR(-)群ではEL/KE共に上昇した。この事象を、第11回日本心臓弁膜症学会にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表はできたが、ARでVFMを計測できている患者総数が21例であったため、この1年で総数を増やして更なるデータを蓄積することを目標とする。さらに、左室内の圧較差を示すIVPDも計測可能であるため、この情報もできれば追加した。 また、左室に容量負荷がかかる大動脈弁逆流症のみならず、肥大型心筋症など左室に圧負荷がかかる病態でもVFMのデータを解析することを目標とする。最終的には論文化につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度と同様にコロナウイルス感染流行のため、国際学会での情報収集・交換を行うことができず旅費を計上できなかったことが大きい。最終的には国際学会に出して論文化するため、次年度使用額が生じております。
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