2023年度に実施したXenium in situによるhuman sample解析を引き続き実施した。Cell segmentationの定義設定が2023年度時点では解決できていない状況であり(2024年度に10X Chromium社から新規cell segmentation手法がupdate予定)、DAPIで染色される核間の距離でcell segmentationを定義する現状の方法では、例えば1型肺胞上皮細胞のような薄い細胞、線維芽細胞の様に細く長い細胞を単一細胞のsegmentationに難があることが明かになった。その結果、細胞と標識される一部の区画では、2つ以上の細胞がoverlapして標識される区画が検知される状況であることを明らかにした。線維芽細胞については、胎児線維芽細胞を基質に用いたオルガノイド系において患者由来肺癌細胞との共培養下において、pro-tumor、anti-tumorに機能する線維芽細胞に分かれることを明らかにした。PhenoCycler併用下でTPr signalingをCell neighborhood analysesを用いて検証したが、その検証においては有意な結果が得られなかった。TPr高発現の線維芽細胞を用いた肺癌sphereにおいては低発現のsphereと比較すると癌細胞の増殖が有意に増加していたことから、2023年時点でのXeniumおよびPhenoCyclerで検出できる遺伝子/蛋白種類数に制限があることが本結果につながった可能性はある。以上よりcell segmentationの定義/検出、遺伝子/蛋白数検出種類に改善の余地はあるものの、cell cell interactionを検出/評価するプラットフォームの礎を形成することができた。
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