研究課題/領域番号 |
20K17180
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木庭 太郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00812942)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / バイオマーカー / エクソソーム / 細胞外小胞 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
背景:気管支喘息の個別化医療にとって、新規バイオマーカーの開発が急務である。 目的:喘息患者の血清エクソソームから組織病態を反映する新規バイオマーカーを同定すること。 方法:喘息の新規バイオマーカーを同定するために、健常人4人、好酸球性喘息患者(EA)4人、アトピー性喘息患者(AA)4人の血清エクソソームのDIA法による網羅的なタンパク質解析を行った。また、喘息患者61名とコントロール23名において、DIAによるさらなる検証を行った。さらに、鼻ポリープのない慢性鼻副鼻腔炎患者6名と鼻ポリープのある慢性鼻副鼻腔炎患者(CRSwNP)7名を対象にDIAを実施した。 結果:3032個のタンパク質が同定され、そのうちEAで23個、AAで38個のタンパクが有意に変化していた。ingenuityパスウェイ解析により、各フェノタイプのタンパク質発現は疾患特性を反映していた。検証の結果、5つのEA特異的バイオマーカーを同定した。EV中のタンパクXのポテンシャルは、診断や気道閉塞の検出において、好酸球のそれよりも優れていた。また、鼻副鼻腔炎患者において、エクソソームおよび組織からそれぞれ1752および8413のタンパクが同定された。CRSwNPのエクソソームと組織の両方から同定された11個のバイオマーカー候補タンパクのうち、5個のタンパク発現がエクソソームと組織で有意に相関していた。さらには、エクソソーム中のあるタンパクは、in vitroおよびin vivoでETosisに関与していることが明らかになった。 結語:ヒト血清由来エクソソームを用いた定量プロテオミクスから、喘息の新規バイオマーカーを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
喘息患者の血清由来エクソソームを用いた定量プロテオミクスから、喘息に特異的な新規バイオマーカー候補を同定した。得られたバイオマーカーは疾患の病態を反映し、診断や個別化医療に有用である可能性がある。 尚、エクソソーム中のタンパクXは、喘息の診断能や気道閉塞の検出において、末梢血好酸球数のそれよりも優れていた。 また、鼻副鼻腔炎患者のエクソソーム及び鼻茸の手術検体をプロテオミクスで検討することができた。 さらには、エクソソーム中のあるタンパクは、in vitroおよびin vivoでETosisに関与していることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
今後、同定したタンパクのバイオマーカーとしての再現性をより多数の患者検体で確認する必要がある。 また、トランスクリプトームとメタボロームを含めた統合解析も行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果がスムーズに出たおかげで、前年度に使用した研究費が予定より少なめであった。よって、次年度使用額が生じました。
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