研究課題
PD-L1が高発現にも関わらず、PD-1阻害薬の治療効果が得られないような症例において、どのような免疫逃避経路が関わっているかについては諸説報告されているもののまだ一定のコンセンサスは得られていない。本研究の目的は、MUC1がPD-1阻害薬を介した免疫細胞の免疫応答(抗腫瘍効果)にどのような影響を与えているのか、つまり耐性獲得(免疫逃避)に関わっているかどうかを明らかにすることである。実験1.肺癌患者におけるPD-L1およびMUC1(KL-6)発現の評価肺癌患者125名のうち、78名の組織検体を用いて、MUC1(KL-6)の免疫組織化学染色を行った。分布形態やスコアリングをいくつか試して解析を行ったが、血清KL-6や治療効果との相関関係はなかった。原因としては、組織検体の採取時期と血液検査の時期がずれていたことや気管支鏡下肺生検検体が多かったことなどが考えらえた。2019年以降は免疫チェックポイント阻害薬と化学療法との併用療法が増えてきたため、純粋な免疫チェックポイント阻害薬の効果判定が難しく、症例数はこれ以上増やさないこととした。実験2.肺癌細胞株におけるMUC1(KL-6)の発現とNivolumabの治療効果の評価肺癌患者の胸水からの癌細胞株の樹立については、新型コロナウイルスの影響により患者数が減ったことや実験室を使用できない時期があったこともあり、胸水を採取できた症例がほとんどおらず、新規細胞株を樹立することができなかった。複数の肺癌細胞株の準備はできており、KL-6およびPD-L1の発現を現在評価中である。
4: 遅れている
新型コロナウイルスの蔓延の影響もあり、臨床業務に追われており、思ったように研究に時間をさけなかった。
すでに樹立された肺癌細胞株を複数準備することはできている。PD-L1発現とMUC1の発現状況をフローサイトメトリーで適宜評価中であり、これらを操作することによって免疫チェックポイント阻害薬に対する感受性の変化が起こるかどうかを検討していく。もちろん肺癌患者の胸水細胞からの新規細胞株樹立も両立させる予定である。
コロナ禍の影響もあり、日常業務に追われていた影響もあり、実験が進まなかったことが影響している。細胞株の準備はしており、本来昨年度から開始する予定であったフローサイトメトリーや免疫染色の実験器具等をそろえて実験を進めていく予定。
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Case Reports in Oncology
巻: 14 ページ: 1447-1453
10.1159/000518246
広島医学
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