まず肥満マウスが通常体重マウスと比較し気道過敏性および気道炎症が増悪するかを検討するため肥満マウスであるobobマウスと通常体重マウスであるWTマウスにオゾンを2ppm 3時間暴露し24時間後に気道過敏性および炎症評価を行った。WTマウスもobobマウスもオゾンにより気道過敏性および気管支肺胞洗浄液中の総細胞、好中球の増加を認めた。また、オゾン暴露群においてはWTと比較しobobマウスで有意に気道過敏性が亢進することが分かった。BAL中好中球は変化は見られなかった。 次にGLP-1作動薬をマウスに経口投与しオゾンによる気道過敏性の評価をおこなったが、プラセボと比較し明らかな変化は見られなかった。以上からオゾンによう気道過敏性にGLP-1作動薬は明らかな効果がみられないことが分かった。 その他メカニズム解析として気道過敏性や炎症増悪に関与しているといわれている上皮由来サイトカインであるTSLPを測定したところ、TSLPはオゾン暴露により増加し、さらにオゾン暴露群の中ではWTと比較しobobマウスで有意に上昇することが判明した。よって肥満による気道過敏性増悪にはGLP-1ではなくTSLPが関与する可能性が示唆された。 次にオゾンによる気道過敏性や好中球性炎症にTSLPが関与するかどうかTSLP受容体欠損マウスを用いた検討を行った。WTと比較しTSLP受容体欠損マウスはオゾンによる気道過敏性や好中球性気道炎症が有意に抑制され、肺内サイトカイン・ケモカイン解析でも有意に抑制されていることが分かった。以上からオゾンによる気道過敏性増悪や好中球性炎症にはTSLPが重要であることを発見した。
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