研究課題
研究代表者らは、肺大細胞神経内分泌がん(LCNEC)症例を中心にホルマリン固定パラフィン包埋組織検体のH3K27ac クロマチン免疫沈降シークエンシング(ChIP-seq)解析を進めた。データを集積し、活性型エンハンサーのパターン、すなわち転写プログラムのパターンに不均一性があることを確認した。小細胞肺がんにおいて知られているASCL1、NeuroD1、POU2F3、YAP1といった神経内分泌細胞系統因子の個々の症例における優位性を、同じ悪性度の高い肺神経内分泌腫瘍に分類されるLCNECでも確認し、臨床的意義が示唆された。特にASCL1とNKX2-1によって規定されるサブタイプを同定し、典型的な神経内分泌的特徴を有していた一方、他のサブタイプを規定する候補転写因子についてCRISPR/Cas9システムによるノックアウトおよび過剰発現系機能解析を進めている。また、肺がんにおける分化プログラムの多様性・可塑性を明らかにするための独自の切り口として、混合型肺がんのエピゲノム解析・ゲノム解析を進めている。その結果、混合型肺がんの活性型エンハンサーのパターンは各病理組織像を反映していることを見出した。例えば、腺がん領域においてはNkx2-1、扁平上皮がん領域ではp63といった細胞系統因子にsuper-enhancerを有していた。各々の分化プログラムが誘導される機構・分化プログラムに可塑性を生じる機構の検討を進め、その検討から肺がんの分化状態の可塑性に関わる候補転写制御因子を同定し、この候補転写制御因子について機能解析を進めている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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