研究課題/領域番号 |
20K17197
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
竹越 大輔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80868084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | mieap |
研究実績の概要 |
放射線照射によるDNA損傷ストレスを負荷することで、Mieapタンパク質発現が細胞内、特にミトコンドリア内で亢進し、損傷タンパクの除去やミトコンドリア自体の除去が行われることが先行研究にて示されている。我々の元来の目的実験系(呼吸器細胞系や実験動物、ヒト生体標本)における評価を行う前に、評価系を確立するため、まずは既報の事象の再現を試みた。しかし、先行論文とほぼ同様のプロトコル、同一cell lineで実験を行ったが、細胞全体としてのMieapタンパクの亢進は認められなかった。 また、ヒト手術検体を用いた組織染色も行ったが、非特異的な染色と思われるパターンしか得ることができなかった。 これらの原因として、抗体性能の問題が考慮されたため、EGFR-Mieapプラスミドベクターを用いて陽性コントロールを作成し、市販抗体を複数購入し、抗体性能をウエスタンブロッティングと免疫細胞染色にて確認した。結果、感度は低いもののある程度の特異度を持った市販抗体を複数同定できた。 このため、同抗体を用いて再度再現実験を試みたが、Mieapタンパクの亢進はやはり確認されなかった。このため、放射線照射量や強度、評価のタイミング、Mieap以外の指標の確認などの実験系の調節を現在行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
肺線維症病態におけるMieapの役割を評価することを目的とした研究であるが、本来の目的とする実験系における解析の前提となる既報の再現ができないことから、進捗が遅れている。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延による臨床業務の増大や子の誕生などで実験担当者が実験に割ける時間が圧迫されていることも遅延の理由となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の実験系ではコントロール群と介入群での差がMieapの量としては明らかとならないため、刺激の種類・量・強度、評価のタイミング、Mieap発現量以外の指標の検討(抗体以外による評価)、細胞全体ではなくミトコンドリア分画の利用などを検討していく予定である。望ましくはないが、Mieap発現量の増減は既報で確認されていることから、その再現にはこだわらず、Mieap発現低下系(siRNAによるKDやKOマウスの利用)や過剰発現系を用いて、肺線維症病態モデル(細胞系、実験動物)における線維化や細胞老化、細胞分化の指標を比較することでMieapの影響を検討していくことも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり、実験の進捗が遅れているために研究費の執行も遅れたことが次年度使用額が生じている理由である。今後の研究計画に述べた通り、実験が進捗していけば計画通り予算の執行を行っていく。
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