研究課題/領域番号 |
20K17201
|
研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
和田 晋一 天理医療大学, 医療学部, 教授 (80784355)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 間質性肺炎 / 一次微分波形分析法 |
研究実績の概要 |
単一N2呼出テストは酸素やN2メータを必要とする大型の高額機器である。2015年に申請者は一次微分波形分析法を用い、第ⅢとⅣ相の区分を心原性振動の振幅の半減現象から行い、クロージング・ボリューム(CV)の客観的な測定法を開発した。従来、判定不能であったCOPD患者もCVの測定が可能となった。他方、CO2を指標とする量カプノグラフィは呼吸モニタとして広く利用されているが、単一CO2呼出テストを臨床検査として実施することはない。申請者は単一CO2呼出テストにおいても一次微分波形(FDW-CO2)を用いるとCVの測定が可能であることを報告した。それ以外にもFDW-CO2には様々な生理的指標が計測できることをすでに理論的に明らかにしている。しかし、FDW-CO2への波形変換、解析に数時間を要する。本研究はFDW-CO2への自動変換システムの開発、COPDや間質性肺炎などの疾患による特徴抽出の検証を目的とする。量カプノグラフィは小型化が可能なので在宅での精密呼吸解析が可能となり、COVID-19等の呼吸病変にSPO2モニターより早く感知できることを期待している。 今年度の計画は本研究に同意の得られた本学学生、教職員の健常ボランティア50名(年齢不問)に対し、量カプノグラフィー(Aeromonitor AE-310s)による単一CO2呼出テスト(SBT-CO2)と単一N2呼出テストを実施し比較することである。2021年1月に天理よろづ相談所病院の研究倫理委員会の承認を得たが、現時点では、健常ボランティア10名、間質性肺炎患者2名を実施にとどまっている。今後、症例数を増やし、分波形から必要データを抽出できる自動変換ソフトの開発に努める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度の計画は健常ボランティア50名(年齢不問)、COPD患者50名、間質性肺炎患者50名に対し、健常ボランティア10名と間質性肺炎患者2名のみである。少ない要因は新型コロナによる病院における医療体制の負担を避けるためや感染予防の確立がなかったため、研究的な検査を避けたことである。感染対策を十分にしたうえで2021年1月に天理よろづ相談所病院の研究倫理委員会が承認され研究が開始したが、来院患者数の減少、呼吸機能検査の制限などで予定通りの実施に至っていない。 しかし、過去の症例での単一N2呼出曲線や単一CO2呼出曲線の一次微分波形分析を行い、学会発表を行った。令和2年9月20日(第60回日本呼吸器学会学術講演会(Web)ミニシンポジウム)、令和2年10月1日(第69回日本医学検査学会(Web開催))である。また、Resiratory Investigation雑誌に「Utility of first derivative wave analysis of single-breath nitrogen washout curve to assess the closing volume in severe cases of chronic obstructive pulmonary disease」を投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
単一CO2呼出曲線曲線を自動的に一次微分波形に変換しできるソフトを開発していく。そのためには健常人、COPD患者、間質性肺炎患者の治験をおこない単一N2呼出曲線、単一CO2呼出曲線における臨床的価値のある検査項目を検出する必要がある。目標件数まで達しなくても解析・統計を行っていく予定である。開発に関しては工学系に通ずる専門家に意見を伺う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の計画は健常ボランティア50名(年齢不問)、COPD患者50名、間質性肺炎患者50名に対し、健常ボランティア10名と間質性肺炎患者2名のみである。少ない要因は新型コロナ感染症の感染拡大により医療体制の負担を避けるためや感染予防の確立がなかったため、研究的な検査を避けたことが一因である。今年度は治験件数を増やし、臨床的有意な検査項目を抽出し解析ソフトの開発に臨む予定である。工学系の研究協力者と検討を重ね助成金を利用し一次微分波形変換ソフトの開発を行う予定である。
|