研究課題/領域番号 |
20K17203
|
研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
盛田 麻美 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (20647193)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 小細胞肺がん / 代謝 / 食事介入 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは、これまでの研究で、小細胞肺がん(SCLC)は“反ワールブルグ型の解糖系酵素PKM1”を発現する珍しい腫瘍であり、その生存・増殖をPKM1に依存していることを明らかにした。その後の研究によりSCLCの新たな代謝脆弱性をさらに見出すとともに、その弱点を効率的にターゲットする新規治療を考案した。さらにその代謝ターゲット治療の実効性を、食事介入によって飛躍的に高めることができることを発見した。本研究では、当該の「食事制限がもたらす腫瘍抑制」メカニズム解明や(a)、この食事療法の早期実現に向けた各種検討(b)に取り組んだ。 (a)食事制限と代謝阻害剤による合成致死のメカニズム 実験系としては、マウス移植モデルを採用した。特殊エサを与えたマウス、特殊エサを与えつつかつ代謝阻害剤を投与したマウス等から臓器/組織(血液・腫瘍を含む)をサンプリングし、各種代謝物等の量を測定した。その結果、特殊エサとNAD合成阻害剤の投与が、相乗的に腫瘍NADレベルを低下させることが明らかになった。この相乗効果の作用ルートについてさらに検討を行ったところ、当初の予想に反し、ホストマウスの全身性代謝を含む複雑な作用メカニズムが浮上した。 (b)食事制限併用、代謝ターゲット治療のフィージビリティ向上 我々が目論んでいる食事制限を臨床応用するにあたっては、期間が短くなるほど達成が容易になり、副作用の可能性も減少する。これまでのプロトコールをベースに、投薬前後の食事制限期間をどこまで短縮できるか? 検討した。その結果、阻害剤と食事制限の相乗効果を得るには、基本的には、阻害剤投与時のみの食事制限で十分であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた腸内細菌叢への影響を明らかにするに至らなかったが、一方で、全身性および細胞レベルでのメカニズム解明が当初想定を上回って進展した。それらを考慮すると、計画は概ね順調に進展していると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の検討で浮上した、代謝阻害剤投与と食事介入が相乗的にもたらす治療効果の作用ルートについて、各種モデルを用いて検証を行う。また、当該食事制限や治療の副作用等有無についても注意深く検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため。次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
|