研究課題
研究代表者らは、これまでの研究で、小細胞肺がん(SCLC)は“反ワールブルグ型の解糖系酵素PKM1”を発現する珍しい腫瘍であり、その生存・増殖をPKM1に依存していることを明らかにした。その後の研究によりSCLCの新たな代謝脆弱性をさらに見出すとともに、その弱点を効率的にターゲットする新規治療を考案した。さらにその代謝ターゲット治療の実効性を、食事介入によって飛躍的に高めることができることを発見した。本研究では、当該の「食事制限がもたらす腫瘍抑制」メカニズム解明や、この食事療法の早期実現に向けた各種検討に取り組んだ。上記目的のため、栄養成分をより詳細に調整したマウス実験用エサを作製した。質量分析によって、それらエサが、予定した栄養組成になっていることを確認した。それらをマウスに一定期間与えたのち、血清を取得し、血中ビタミン濃度を測定した。また、安定同位体標識したビタミンを経胃投与したのち血清を取得し、同様の血中ビタミン分析を行った。それら検討結果から、SCLCの代謝干渉感受性を規定する血中ビタミンを同定し、さらにその生成経路も推定することが出来た。遺伝子ノックアウトマウスでの検証から、上記生成経路モデルの妥当性が裏付けられた。当該遺伝子破壊マウス(実際にはRag1欠損と組合わせたダブルノックアウトマウス)をホストとした移植xenograft腫瘍の治療実験にて、上記ビタミン生成経路の重要性が証明された。
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Int J Clin Oncol.
巻: 27(1) ページ: 112-120
10.1007/s10147-021-02043-2.