研究実績の概要 |
北海道難治性喘息コホート研究(UMIN ID 000003254)」(Kimura H, et al. Ann Am Thorac Soc, 2017)は、喫煙者を含めた127名の難治性喘息患者を対象とした前向きコホート研究であり、すでにそのフォローは終了している。申請者らは、過去に重症喘息患者における頻回増悪と2型気道炎症との関連性について報告している(Kimura H, et al. Clin Exp Allergy, 2018)が、2型気道炎症のメカニズムは多様であることが考えられており、様々なバイオマーカーの関与が予想されている。 増悪に関連するバイオマーカーのカットオフ値の報告をAllergol Int誌へ(Kimura H, et al. Allergol Int, 2021)、3年間のFeNOの変動と増悪の関連性についてはJ Asthma Allergy誌へ(Abe Y, et al. J Asthma Allergy, 2020)報告している。前者については、2型マーカーの指標(論文中ではpositive Th2 featureと表現)として、末梢血好酸球数≧250 /uL、FeNO≧31 ppb、アトピー素因の3項目を用いた場合、該当するものの個数が多いほど、前向き3年間における頻回増悪(年間2回以上)の頻度が大きくなる結果であった。また、後者に関しては、3年間のFeNOの変動を見た研究であり、3年間にわたってFeNO高値(≧50 ppb)であることや、FeNOの変動が大きいことが、増悪と関連していた。 今後も、血液や喀痰中のバイオマーカーの測定を継続し、増悪との関連を検討したいと考えている。
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