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2020 年度 実施状況報告書

EGFR変異肺癌髄膜癌腫症モデルにおけるオシメルチニブ抵抗性克服を目指した研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K17213
研究機関北里大学

研究代表者

大谷 咲子  北里大学, 医学部, 助教 (60439081)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードオシメルチニブ耐性 / KRAS変異 / 髄膜がん腫症SCIDマウス / MEK阻害薬
研究実績の概要

第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるオシメルチニブ耐性髄膜がん腫症in vivoイメージングモデルから樹立したがん細胞株(G-OR#2)において次世代シーケンサー(NGS)を用いた遺伝子解析よりKRAS-G12Vを検出している。この細胞株を用いて、オシメルチニブとMEK阻害薬トラメチニブを併用したところ、細胞増殖抑制効果が確認された。この結果より、in vivoでも同様の効果を確認できるか検証することとした。まず、G-OR#2を髄膜播種させた髄膜癌がん腫症SCIDマウスモデルを作製した。G-OR#2髄膜がん腫症マウスをコントロール群、トラメチニブ単剤群、オシメルチニブ単剤群、オシメルチニブとトラメチニブ併用群の4群にわけて検討した。その結果、トラメチニブ単剤群はコントロール群とほぼ同様の生存期間であった。一方、オシメルチニブとトラメチニブ併用群はオシメルチニブ単剤群よりも有意に生存期間を延長した。また、各群間の体重減少に有意差は認められず毒性は許容できるものと考えられた。これらのことから、オシメルチニブ耐性EGFR変異肺がん髄膜がん腫症の耐性機構の原因の一つがKRAS-G12Vであることが示唆された。また、MEK阻害薬トラメチニブとオシメルチニブの併用がin vitroおよびin vivoにおいてオシメルチニブ耐性を克服したことから今後の治療の選択肢となる可能性を示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

NGSでKRAS-G12V変異を検出した細胞株を髄膜播種させた髄膜がん腫症SCIDマウスモデルの作製が順調に進んた。また、4群に分けての投薬実験をスムーズに行うことができin vitroおよびin vivoでの実験は当初の予定より早く進んでいた。しかし、オシメルチニブ耐性髄膜がん腫症肺がん患者の腫瘍検体を用いた耐性機序についての検討は進んでいない。特に患者検体の収集が難航している。既に全身状態が悪いため検体採取への同意を得ることが難しいことやオシメルチニブの無増悪生存期間が長く対象患者の出現が少ないためである。

今後の研究の推進方策

今後、オシメルチニブとトラメチニブの臓器移行性の検討を行うため、脳や肺、皮下組織切片を用いて薬剤の移行性を比較検討する。なお、患者検体の収集について引き続き努力する一方、in vitroおよびin vivoでの実験結果をまとめ論文投稿している。
また、O-OR細胞株で検出された機能喪失性変異であることが判明しており、これに関連する代謝経路の代謝産物から有効な薬剤をを用いてO-ORに対する増殖抑制効果をin vitro およびin vivoで検討していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症のため、国内外の学会に参加することができなかったため。

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公開日: 2022-12-28  

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