研究課題
N型糖鎖合成阻害薬はMETのプロセシングと細胞表面への輸送を抑制した。METのN型糖鎖の11か所のうち5か所は糖鎖付加率が100%であり、いずれも複雑型糖鎖でありコアフコースやシアル酸が付加する傾向にあった。MET糖鎖欠損はMETのプロセシングを抑制し、METのSEMAドメインの糖鎖はシグナルを正に制御し、SEMAドメイン以外の糖鎖はシグナルを負に制御した。全ての糖鎖を欠損させるとHGF依存の細胞増殖は抑制され、また細胞表面のMET発現は完全には消失しないものの著明に減少したが、in vitro ではリガンドとの結合親和性に影響を与えなかった。SEMAドメインのN型糖鎖欠損でHGFシグナルが減弱する理由は細胞表面でのMET発現の減少の関与が大きいと考えられた。本研究により、N型糖鎖がMETのプロセシングと下流のシグナル伝達において必須の役割を担っていること、およびN型糖鎖がMETの機能制御に関与していることが示唆された。N型糖鎖がMETを制御する詳細な機序を解明することは、METの機能を制御する新しい方法を確立するための手がかりとなる可能性がある。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Cancer Science
巻: ー ページ: ー
10.1111/cas.15278