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2020 年度 実施状況報告書

肺線維症における無菌性炎症の分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17222
研究機関自治医科大学

研究代表者

水品 佳子  自治医科大学, 医学部, 講師 (70458321)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード特発性肺線維症 / 急性肺傷害 / 肺胞上皮細胞 / 細胞死 / pyroptosis / インフラマソーム
研究実績の概要

インフラマソームの構成分子の1つであるCaspase-1依存性の細胞死はpyroptosisと呼ばれ、Caspaseによって切断されたGasdermin D(GSDMD)やGasdermin E(GSDME)のN末端が細胞膜に孔を形成することによって生じる。特発性肺線維症(IPF)の病態におけるpyroptosisの役割については不明な点が多い。そこでIPF急性増悪におけるpyroptosisの関与に着目し研究を進めた。
近年、化粧品や日用品、食品、工業用品などにナノマテリアルが多用され、またPM2.5にもナノマテリアルは含まれており、人体への有害性が指摘されている。ナノマテリアルの1つであるナノシリカにマウスを暴露させると肺傷害を生じることも報告されている。IPF急性増悪は急性肺傷害(ALI)と類似点が多い。そこでナノシリカによるALIにおけるpyroptosisの役割について解析を行うこととした。
肺胞上皮細胞株であるA549細胞にナノシリカを添加するとCaspase-8の活性化およびGSDMEのN末端の切断が認められた。Caspase阻害剤であるEmricasanの添加によって、Caspase-8の活性化は抑制され、GSDMEの切断も有意に抑制された。このことから、GSDMEはCaspase(特にCaspase-8)によって切断されていると考えられた。
また、A549細胞にナノシリカを添加すると細胞上清中にLDHの放出を認めるが、Emricasanを添加してもLDHの増加は抑制されなかった。このことから、ナノシリカによる肺胞上皮細胞の傷害にはpyroptosis以外の細胞死も関与していることが示唆され、現在解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ナノシリカの添加濃度などの条件設定に時間を要した。
またナノシリカによって肺胞上皮細胞のpyroptosisが誘導されるが、pyroptosisを抑制しても細胞死自体の抑制を認めず、仮説と異なる結果であったため、さらに追加の解析を進めている。

今後の研究の推進方策

ナノシリカによって誘導される肺胞上皮細胞のpyroptosisの分子基盤を解明するため、ナノシリカがGSDMEを切断する機序についてさらに解析を進める。
またマウスにナノシリカを投与し、ナノシリカ誘導マウスALIモデルを作成しin vivoの解析も行う。
ナノシリカ誘導急性肺傷害モデルにおける抗線維化薬Pirfenidoneの作用についてもin vitroおよびin vivoで解析を進める予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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