臨床研究ではEPPK1 mRNAは肺腺がん、肺扁平上皮がんでは正常肺組織と比較して高発現である事を示した。また、初期肺腺がんにおいてEPPK1蛋白質高発現群は低発現群と比較して予後が悪く発がん、がん増殖に重要な役割を果たしている事、EPPK1蛋白質は初期肺腺がんにおいて喫煙と関連している事を明らかにした。基礎研究では気管支上皮細胞株BEAS2Bにsmoking machineを用いた4か月の研究たばこ曝露を行った。DNA損傷マーカーH2AXが増加しているため喫煙曝露が適切に行われている事をWestern Blot、蛍光免疫染色で確認後、喫煙によりEPPK1蛋白質発現が亢進すること示した。また、肺腺がん細胞株A549に対してCRISPR-Cas9を用いたEPPK1遺伝子ノックアウト後、野生株と比較した。ノックアウト後、野生株と比較してWestern Blotで間葉上皮転換が起きる事、機能テストで細胞浸潤能、細胞増殖能低下をきたす事を示した。EPPK1 ノックアウト後は野生株と比較して網羅的RNA seqによりがん遺伝子、転写因子C-MYC、MYCN低下、アポトーシス抑制がん遺伝子BCL2低下、がん抑制遺伝子p53上昇する事、Western BlotでもC-MYC低下、p53上昇する事を明らかにした。このためEPPK1は非小細胞肺がんにおいて喫煙とtumorigenesisに関連している可能性を示した。
|