肺線維症の発症の起点として肺胞上皮傷害や細胞老化の関与が想定されているが、いまだ分子病態の解明が進んでいない。 本研究では、Ⅱ型肺胞上皮細胞(AT2)を用いて肺胞オルガノイドを作成し、これと初代肺線維芽細胞を共培養することで、線維化の主役である筋線維芽細胞への分化を評価する、新たな肺線維症モデルを確立した。このモデルを用いることで、DNAダメージを受けp53シグナルを高発現したAT2が、TGFβを産生して筋線維芽細胞を直接分化誘導すること、さらにオートクラインによりその作用が増強されることが明らかとなった。またこれらの結果はヒトAT2を用いた実験でも再現されることがわかった。
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