ポドサイトにおけるユビキチン・プロテアソームの役割を検討するために、ポドサイト特異的にノックアウトしたマウス(pRpt3 KOマウス)を作成した。 pRpt3 KOマウスは若齢で尿蛋白が出現し腎不全で死亡した。pRpt3 KOマウスのポドサイトでは、ユビキチン化蛋白が蓄積しており、プロテアソーム不全により分解できずに蓄積したと考えられた。また酸化ストレスによりp53を介したアポトーシスが誘導されてポドサイトが細胞死したと考えられた。 ユビキチン・プロテアソームとオートファジーは相互に機能を代償しており、プロテアソームの機能不全によりオートファジー活性が代償性に上昇することが一般に知られている。しかしpRpt3 KOマウスのポドサイトでは、オートファジーで特異的に分解されるp62が蓄積しさらにオートファジー活性のマーカーであるLC3がポドサイトにおいて減少していることから、オートファジーが抑制されていることが分かった。そこでオートファジーを負に制御しているmTORシグナルを調べたところmTORの下流分子であるULK1のリン酸が増加しておりmTORシグナルの活性化により オートファジー活性が抑制されたことが分かった。mTOR阻害剤であるrapamycinを pRpt3 KOマウスに投与したところ、投与していない pRpt3 KOマウスに比べて8週齢での硬化糸球体の数が有意に減少した。 培養系において不死化培養ポドサイトに、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブの投与し、プロテアソーム不全で蓄積する蛋白を同定目的で、ユビキチン蛋白特異的に結合するビーズを用いてユビキチン化蛋白を精製し、質量分析で解析したところ、熱ショック蛋白やDNA修復蛋白、またUPSとオートファジーのアダプター蛋白、いくつかの細胞骨格関連蛋白を同定した。
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