研究成果の概要 |
本研究は先天性腎性尿崩症(NDI)の治療薬探索のため、腎集合管主細胞においてバソプレシン受容体(V2R)と共役して働くアデニル酸シクラーゼ(ADCY)の構造解析を試みた。ヒトADCY 3,6,9がV2Rと共役するが過去の研究から特にADCY6と9について発現精製とクライオ電子顕微鏡(cryo-EM)の解析を行った。結果、ADCY6はヒト以外にも9種類の哺乳類のADCY6や200種の脊椎動物のconsensus配列などを作成したが発現状態が安定せず解析は困難であった。ヒトADCY 9に関しては発現精製ができたため現在論文化の準備を進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ADCYは10種類あり、広く生体内に発現し、Gタンパク質共役受容体と共役し調整をしている。bovinenのADCY 9,8,5の構造が報告されているが、ADCYの発現精製自体が困難であることも多く、それゆえ既報も分解能が3.5Å前後と側鎖の評価などが十分ではない。ADCYは12本の膜貫通ドメイン(TM)と酵素活性部位(C1 ,C2)、TMとC1 ,C2を繋ぐドメイン(HD)があるが、Gタンパク質やATP の結合時のTMやHDの機能や酵素活性時における構造変化などが十分にはわかっていない。本研究はヒトADCY9においてより分解能のよい構造解析をすることで上記を明らかにする足がけとなる研究である。
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