研究実績の概要 |
アルドステロンによるポドサイト障害におけるp38 MAPKならびにナトリウム利尿ペプチド受容体A(GC-A)の役割を検討した。ポドサイトにおけるp38 MAPKの意義を検討するためにポドサイト特異的p38αMAPKノックアウトマウスとポドサイト特異的GC-A&p38αMAPKダブルノックアウトマウスを作製しB-ALDO(アルドステロン、高食塩)負荷を行った。ポドサイト特異的ダブルノックアウトマウスでは高度のアルブミン尿と著しいポドサイト障害、係蹄内に血栓を認め、nephrin, podocinの発現の低下、ポドサイトの足突起消失が認められた。糸球体よりRNAを抽出して網羅的に遺伝子発現を検討したところ、ダブルノックアウトマウスの糸球体ではSerpine1, Vcam1, Cdh6, Fn1, F8の遺伝子発現が亢進しており、これらはreal-time RT PCR法にても同様の発現亢進を認めた。 次に培養系において、CRISPR/Cas9システムを用いて培養ヒトポドサイトのMAPK14を欠失させ、si-GC-Aでノックダウンを行い、アルドステロン添加したところ、SERPINE1, FN1, F8, CDH8の発現亢進を認めた。さらにMAPK14欠失GC-Aノックダウン培養ヒトポドサイトと、野生型内皮細胞(HUVEC)をアルドステロン添加下でco-cultureしたところ、HUVECにおいてTGF-β1とFN1の発現亢進を認めた。これらから、ポドサイトにおけるp38 MAPKとGC-Aの減少は内皮細胞の細胞外基質に関わる遺伝子発現亢進に関与していることが示された。
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