研究実績の概要 |
2020年度の研究計画として、①腎尿細管細胞の3次元培養モデルの確立、②本実験モデルを用いたNa輸送の解析を立案した。結果として腎尿細管細胞の3次元培養モデルを用いて独自のNa輸送解析を実行することができた。まず計画①では、腎尿細管細胞を3次元培養することによって引き起こされる形態学的な変化を免疫蛍光染色や電子顕微鏡で観察した。3次元培養の腎尿細管細胞は細胞極性を有したスフェロイドを形成し、尿細管様の管腔構造を持つことが確認された。次に計画②では、生理学的な変化としてNaインジケーターやNa, K-ATPase阻害剤を用いてNa輸送能を解析した。腎尿細管スフェロイドはNa, K-ATPase依存性にNa輸送能が著名に活性化していることが見出された。そこでNa輸送能の変化の理由を調べるため、Na, K-ATPase α1を免疫蛍光染色で観察し、さらにmRNAやタンパク質の発現量の変化を検討したが説明できる結果を得られなかった。 計画①と②の結果をさらに発展させるため、RNAシークエンス解析を実施して生理学的及び形態学的な変化の理由を探索した。その結果、腎尿細管スフェロイドでは腎臓発生に関わる遺伝子群の発現が有意に上昇していること、グルコースやアミノ酸のトランスポーターの遺伝子が上昇していることなど興味深い結果がいくつか確認された。予定していた研究計画を進めることが出来たため、ここまでの研究成果をまとめ論文投稿中である。
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