研究課題/領域番号 |
20K17254
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大野 和寿 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (50867520)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腎幹細胞 / 尿細管再生 / 急性腎障害 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
急性腎障害後、尿細管細胞は一過性に壊死に陥るものの非常に高い再生能力を発揮して元の構造を再構築する。しかし、尿細管の再生能力は加齢とともに低下し、高齢者では腎機能が回復せず透析導入に至るケースも少なくない。最近、申請者のグループはその要因として「加齢に伴う腎幹細胞数の減少」を明らかにした。本研究では、「腎幹細胞の老化メカニズム」を明らかにする。Doxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスを用いて、分裂速度の非常に遅い腎幹細胞をGFP標識する。若年マウスおよび高齢マウスからFACSにより分離したGFP標識腎幹細胞を用いて、発現量に差があるリガンド・受容体をプロテインアレイにより探索する。3次元尿細管誘導モデルの管腔形成能を指標にして、腎幹細胞の老化制御因子を明らかにする。本研究で得られた知見は、腎再生医療のさらなる発展に大きく寄与するものと思われる。 今年度は当初使用を予定していたDoxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスの海外輸入が新型コロナウイルス感染の蔓延により困難となったため、尿細管再生に関する研究テーマをバイオマーカーの観点から再考することにした。現在、急性腎障害モデルラットを作成し、新規尿中バイオマーカーの探索を行っている。スクリーニングの結果、現時点で候補因子が複数ピックアップされている。ヒト急性腎障害症例サンプルを用いてバイオマーカーとしての有用性を検証するとともに、得られた知見を「尿細管老化マーカー」の発見につなげたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染の蔓延により、使用を予定していたDoxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスの海外輸入が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初使用を予定していたDoxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスの海外輸入が新型コロナウイルス感染の蔓延により困難となった。そのため、尿細管再生に関する研究テーマをバイオマーカーの観点から再考することにした。現在、急性腎障害モデルラットを作成し、新規尿中バイオマーカーの探索を行っている。候補因子として「EGF」が挙がっており、今後、ヒト急性腎障害症例の尿サンプルを用いて、バイオマーカーとしての有用性を検証していく予定である。さらに、得られた知見を「尿細管老化マーカー」の発見につなげたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の蔓延により、使用する研究試薬の購入に時間を要しているため(特に輸入製品)。2021年度に繰り越した費用を用いて納入の目処がついた試薬から順次購入していく予定である。
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