研究課題/領域番号 |
20K17274
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松浦 亮 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30847041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
心不全モデルとして横大動脈縮窄(TAC)を採用し、27G針を用いて、大動脈に狭窄を誘導した。Sham作成においては大動脈を結紮する手前まで操作を進めた。術後8週後にはTACマウスがShamマウスと比較して、心機能が低下していることを確認した。血圧は両者に違いがないことも確認した。TACから8週後にサクリファイスを施行したところ、腎臓の形態や重さはTACマウスとShamでは変化は見られなかった。光学顕微鏡で観察したところ、TACマウスにおける腎臓では線維化が血管周囲で促進されていることを確認し、先述の血圧の結果からは循環動態の変動に伴わない変化であることを推測した。そこで、腎組織を電子顕微鏡で観察したところ、腎尿細管のミトコンドリアの形態がTACマウスで変化していることを確認した。ミトコンドリアの形態が変化する原因となる分子として、過去の文献からDRP1であることを予想していたが、mRNA, 蛋白レベルでもDRP1に変化がないことを確認し、他のミトコンドリアの形態に関与する分子が、今回の結果につながることを確認した。この分子がTACマウスで変化をきたした原因として交感神経の活性化が原因と考え、マウス近位尿細管細胞(mProx)を使って実験を行った。具体的にはmProxにノルアドレナリンを投与したところ、48時間後に標的となっている分子が変化していることを確認した。その他の分子で変化がないことも確認した。以上のことからTACマウスにおいてはミトコンドリアの形態の変化が線維化の関与していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19により研究活動の制限があったため。
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今後の研究の推進方策 |
細胞培養実験で尿細管におけるミトコンドリア機能の変化が生じるメカニズムを解明する。また目的となる分子をノックダウンしたマウスに心不全を起こした場合、腎のミトコンドリアがどのように変化するかを観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の流行に伴い、大学での研究活動が制限されていた時期があり、研究の進捗がやや遅れたため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせて、遅れた実験計画を速やかに進める。
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