研究課題/領域番号 |
20K17278
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 輝 京都大学, 医学研究科, 助教 (40760153)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナトリウム利尿ペプチド / CTGF / ナトリウム利尿ペプチド受容体(GC-A) / アルドステロン |
研究実績の概要 |
Connective tissue growth factor (CTGF)は病的な状態においてTGF-βなど他の増殖因子の機能を調節し、細胞外基質増加作用や炎症を惹起するなど様々な機能を有する増殖因子である。これまでに我々はポドサイト特異的ナトリウム利尿ペプチド受容体(GC-A)ノックアウト(KO)マウスに片腎摘、高食塩、アルドステロン負荷を行い、アルブミン尿やポドサイト傷害が増悪することを明らかにしてきた。本研究は、腎臓におけるナトリウム利尿ペプチドのアルドステロン拮抗作用におけるCTGFの機能的意義についてノックアウトマウスを用いて検討することを目的とした。 今年度は、ポドサイト特異的GC-A コンディショナルKOマウス(pod GC-A cKO)と全身性誘導型CTGFノックアウトマウス(Rosa CTGF cKO)を交配して、ポドサイト特異的GC-A;CTGFダブルノックアウト(pod GC-A;CTGF dKO)マウスを作製した。12週齢で左腎摘出術を行い、その後14週齢から6%高食塩負荷、浸透圧ミニポンプによるアルドステロン投与を開始、毎週体重や血圧測定、蓄尿を計4週間継続した後屠殺を行い、pod GC-A;CTGF dKO とpod GC-A cKOとの表現型の比較検討を行った。現在までの検討結果で、まず糸球体でのCTGF mRNA発現は、pod GC-A cKOと比較してpod GC-A;CTGF dKOで約63%抑制されていた。血中のアルドステロン濃度は、dKO とpod GC-A cKOで同程度の上昇を認めた。次に体重、血圧、尿量、腎重量の測定を行ったところ、dKO とpod GC-A cKOとの間でいずれも明らかな差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、ポドサイト特異的GC-A コンディショナルKOマウス(pod GC-A cKO)と全身性誘導型CTGFノックアウトマウス(Rosa CTGF cKO)を交配して、ポドサイト特異的GC-A;CTGFダブルノックアウト(pod GC-A;CTGF dKO)マウスを作製し、予定通りにdKOマウスの表現型の解析に着手することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、上記pod GC-A;CTGF dKOおよびpod GC-A cKOの尿所見、腎病理所見、電子顕微鏡によるポドサイトの形態、アポトーシス、ポドサイト関連タンパクの発現、酸化ストレスに関与する遺伝子群の発現変化などについて網羅的な解析を行う予定である。本検討を通じて、高アルドステロン状態におけるpod GC-A;CTGF dKOでの糸球体障害がpod GC-A cKOと比較して軽減するかどうかを検討し、ポドサイトにおけるCTGFの意義を明らかにしたいと考えている。
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