研究実績の概要 |
1, 多能性幹細胞(iPSCs)からネフロン前駆細胞(NPCs)への最適な誘導法の検証 iPSCsからNPCsへの誘導法として、Taguchiら、Morizaneら、Takasatoらが用いた方法を検証した。このうち、効率よくNPCsへの分化誘導可能であったTaguchi, Morizaneらの方法に絞って検証を行った。Morizaneらの方法の方がより効率よく分化誘導することが可能であり、加えてTaguchiらの方法がSphereをつくる三次元培養なのに対し、Morizaneらの方法は平面培養で誘導可能な二次元培養法のため培養操作が容易であり、誘導後の細胞懸濁などの細胞調製も簡単であった。しかしながら、実際にNPCs除去後のマウス後腎に移植してみると、Taguchiらの方法で誘導したNPCsはわずかながらそこに定着するものの、morizaneらの方法で誘導したNPCsは定着することができず、Taguchiらの分化誘導法を用いて検証することとした。NPCsマーカーであるITGA8陽性かつPDGFRA陰性細胞の陽性率は約40%程度であった。MorizaneらはiPSCsからNPCsへの分化誘導過程においてNogginを加えることで誘導効率を高めていたため、Taguchiらの分化誘導法にNogginを加えることで誘導効率がよくなるか検証を行ったが、Nogginあり群、無群において誘導効率に差は認めなかった。以上のことから、iPSCsからNPCsへの誘導はTaguchiらが報告した方法を用いて行うこととした。
2,NPCsの適切なsorting法に関して 従来のセルソーターを用いたSortingは、時間がかかるうえに、細胞に与えるダメージも大きい。申請者らは磁石つき抗体を目的細胞に付着させ、磁石を用いた簡便なSortingで、短時間で効率よくNPCsを純化することに成功した
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