研究実績の概要 |
本研究は、①最適な分化誘導法の検証、②Sorting法の開発、③移植時の細胞調節法、④打ち込む細胞の安全性の確認、⑤移植後の評価といった項目でなりたっ ている。下記に項目ごとの進捗状況を簡単に記載する。 ①多能性幹細胞(iPSCs)からネフロン前駆細胞(NPCs)への最適な誘導法の検証;iPSCsからNPCsへの誘導法として、Taguchiら、Morizaneら、Takasatoらが用いた方法を検証した。このうち、効率よくNPCsへの分化誘導可能であったTaguchi,Morizaneらの方法に絞って検証を行った。昨年の検証において、NPCsの誘導はTaguchiらの方法を用いて行うことにした。 ② NPCsの適切なsorting法に関して;従来のセルソーターを用いたSortingは、時間がかかるうえに、細胞に与える ダメージも大きい。申請者らは磁石つき抗体を目的細胞に付着させ、磁石を用いた簡便なSortingで、短時間で効率よくNPCsを純化することに成功した ③ 移植時の細胞調製;移植の際、細胞をガラス管を用いて、胎仔後腎へ投与することが必要になる。移植は、手技的に難易度がたかく、マウス胎仔後腎の個数も限ら れているので、ヒトiPS由来NPCとマウスの後腎に含まれる細胞が後腎内で相互に影響し合い、ヒトとマウスの細胞からなるキメラ腎臓が再生できるのか検証するには、不向きである。そこで申請者は、in vitroで簡便に検証できる実験系の立ち上げをおこなった。具体的には、マウス後腎をバラバラにし、そこにヒ トiPSC由来NPCを混ぜ、遠心し、凝集させることで、マウス後腎細胞とヒトiPSC由来NPCからなるキメラ腎臓を作成、よりキメラ率があがる条件の検討を行い、報告した。④⑤に関しては今後の課題とする。
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