研究課題/領域番号 |
20K17300
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
谷 崇 日本医科大学, 医学部, 助教 (30714555)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CKD-MBD / 血管石灰化 / アルカリフォスファターゼ / リン |
研究実績の概要 |
血管中膜石灰化(Medial arterial calcification; MAC)は血管壁の中膜と呼ばれる部位が石灰化し、中~大血管が石の様に硬化してしまう病態として知られ、慢性腎臓病(CKD)に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の中核をなしている。慢性腎臓病、糖尿病、高齢者などに多く合併し、心不全の発症や高い死亡率との密接な関連があるが、現在有効な治療・予防法はない。 MACの形成には血管平滑筋細胞(Vascular smooth muscle cell; VSMC)が骨芽細胞様の性質を獲得し(形質転換)、組織非特異型アルカリフォスファターゼ(tissue non-specific alkaline phosphatase; TNAP)が血管局所で石灰化促進因子として働くことが知られている。実際に、TNAPをVSMCに特異的に過剰発現させたモデルマウスでは、高度のMAC、高血圧、心臓肥大および早期死亡が起き、さらにTNAPの特異的阻害薬(SBI-425)はこの遺伝子改変マウスの生命予後とMACを 改善することが報告されている。本研究代表者らはMACを合併する新規CKDモデルマウスを確立し、同モデルマウスにTNAP阻害薬を投与することでMACの形成が予防され、生命予後が改善することを報告した。MACは慢性腎臓病(CKD)患者の予後に直結する重篤な合併症であることから、TANP阻害薬は新規治療薬として期待される。本研究では特に既存の石灰化病変に対してのMAC進展抑制予防効果の有無を検証するため、現在は主に動物実験での検討を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2020年度より国外の医学研究所で開発されたTNAP阻害薬(SBI-425)を共同研究契約による薬剤提供を受け、基礎動物実験により詳細に検討することを予定していた。しかし、コロナウイルス感染症の蔓延にともない上記の研究契約と薬剤の手配に遅延が生じた。また、研究代表者の所属する施設の動物実験自体も緊急事態宣言の最中は自粛を求められたため、実験自体の遂行を休止せざるを得ない期間が少なからずあったため、当初の実験遂行計画よりやや遅延していた。 2021年度に入り、共同研究契約によりTNAP阻害薬(SBI-425)の薬剤提供を受け、現在実験条件検討中である。これまでに、非治療群(Vehicle群)における血管中膜石灰化の再現性を確認する検証を行い、マウス8匹中7匹で大動脈弓、腹部大動脈に明瞭な血管中膜石灰化を認めることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降は、TNAP阻害薬投与による薬物治療介入を行う治療群の検討を行う予定である。TNAP阻害薬が既存の石灰化病変に対してもMAC進展抑制予防効果を示すことができるのかを検証するため、さらに動物実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は2020年度より国外の医学研究所で開発されたTNAP阻害薬(SBI-425)を共同研究契約による薬剤提供を受け、基礎動物実験により詳細に検討することを予定していた。しかし、2020年度はコロナウイルス感染症の蔓延にともない上記の研究契約と薬剤の手配に遅延が生じた。また、研究代表者の所属する施設の動物実験自体も緊急事態宣言の最中は自粛を求められたため、実験自体の遂行を休止せざるを得ない期間が少なからずあったため、当初の実験遂行計画よりやや遅延していた。2021年度に入り、共同研究契約によりTNAP阻害薬(SBI-425)の薬剤提供を受け、実験条件検討などの動物実験を行ったが、上記の通り当初の実験計画よりやや遅延している影響で解析等に必要な費用の決済が次年度に持ち越しとなりました。従い、本年度に執行予定であった研究費用の一部を次年度使用額に繰越し、2022年度以降の実験遂行、解析、研究データの報告等に係る諸経費に使用させていただきたく予定です。
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