研究課題/領域番号 |
20K17304
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 隼也 東北大学, 大学病院, 助教 (30712195)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗菌ペプチド / カセリサイディン / DAMPs / 乾癬 / 感染症 / メタボリック症候群 / HMGB1 |
研究実績の概要 |
代表的なDamage-associated molecular patterns (DAMPs)であり、スカベンジャー受容体(SR)リガンドとして知られるdsRNA, dsDNA、high mobility group box 1 protein(HMGB1)をLL-37とともにヒト培養角化細胞(NHEK)に加えたところ、インターロイキン(IL)-6, IL-36γ、インターフェロン(IFN)β、腫瘍壊死因子(TNF)といった乾癬の病態形成に重要とされる炎症性サイトカインが強く誘導された。さらにこの誘導はSR阻害剤であるfucoidanの添加により抑制された。またヒト単球由来樹状細胞(MoDC)にdsRNAとLL-37を加えた際、およびヒト単球由来マクロファージにdsDNAとLL-37を加えた際にも同様のサイトカイン誘導が観察された。これはLL-37がこれらのDAMPsと結合し、SRから細胞内に取り込まれ、炎症を誘導していることを示唆する。 また、乾癬患者皮疹部の組織標本を用いた免疫染色では、真皮にLL-37陽性細胞がみられる症例でのみ、表皮でIL-36γが観察され、生体内でLL-37により表皮ケラチノサイトからのIL-36γ産生が促される可能性が示唆された。また皮膚におけるLL-37陽性細胞のほとんどがミエロペルオキシダーゼ染色にも陽性であり、皮膚におけるLL-37分泌細胞の多くが好中球であると考えられた。 野生型マウス背部皮膚にToll様受容体(TLR) 7のアゴニストであるイミキモドを塗布し、乾癬モデルとされる皮膚炎症を誘発する際,fucoidanを塗布すると指針上の皮膚の発赤,肥厚や組織像での表皮肥厚,炎症細胞浸潤が減少していた。これはイミキモドによる生体皮膚での炎症誘導にもSRによるDAMPsの取り込みが重要であることを示唆する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画のうち研究計画1( in vitro, ex vivoにおけるLL-37によるDAMPs/PAMPs取り込みの検討)については進捗がみられるが,角化細胞以外の培養細胞やマウス細胞での検討はまだ行えていない.研究計画2(LL-37による酸化LDL取り込みの検討)については行えていない.研究計画3については野生型マウスでの進捗がみられるものの,遺伝子操作マウスでの実験は行えていない。以上よりやや遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究活動に対するエフォートを増やす.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入が不足していたため次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせ物品購入に使用予定である。
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