研究実績の概要 |
代表的なDamage-associated molecular patterns (DAMPs)であり、スカベンジャー受容体(SR)リガンドとして知られるdsRNA, dsDNA、high mobility group box 1 protein(HMGB1)をLL-37とともにヒト培養角化細胞(NHEK)に加えたところ、インターロイキン(IL)-6, IL-36γ、インターフェロン(IFN)β、腫瘍壊死因子(TNF)といった乾癬の病態形成に重要とされる炎症性サイトカインが強く誘導された。またこれらの誘導は、SR阻害剤であるfucoidan や、SRに対するsiRNAの阻害により抑制された。さらに、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)にdsRNAとLL-37を加えた際、およびヒト単球由来マクロファージにdsDNAとLL-37を加えた際にも同様のサイトカイン誘導が観察された。これはLL-37がこれらのDAMPsと結合し、SRから細胞内に取り込まれ、炎症を誘導していることを示唆する。 また、乾癬患者皮疹部の組織標本を用いた免疫染色では、真皮にLL-37陽性細胞がみられる症例でのみ、表皮でIL-36γが観察され、生体内でLL-37により表皮ケラチノサイトからのIL-36γ産生が促される可能性が示唆された。また皮膚におけるLL-37陽性細胞のほとんどがミエロペルオキシダーゼ染色にも陽性であり、皮膚におけるLL-37分泌細胞の多くが好中球であると考えられた。 野生型マウス背部皮膚にToll様受容体(TLR) 7のアゴニストであるイミキモドを塗布し、乾癬モデルとされる皮膚炎症を誘発する際,fucoidanを塗布すると皮膚の発赤,肥厚や組織像での表皮肥厚,炎症細胞浸潤が減少していた。これはイミキモドによる生体皮膚での炎症誘導にもSRによるDAMPsの取り込みが重要であることを示唆する.
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