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2021 年度 実施状況報告書

ヒト毛盤の非侵襲的同定法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K17312
研究機関新潟大学

研究代表者

加畑 雄大  新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60723947)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード毛盤 / 触覚 / 皮膚
研究実績の概要

毛盤とは哺乳動物の有毛部皮膚に存在する感覚器である。メルケル細胞が密に存在し、触覚だけでなく、かゆみ等も含めた皮膚の複雑な感覚を受容する器官として近年注目されている。毛盤の形態は種によって異なり、ラットでは1本の剛毛を中心とした隆起として容易に判別できる。しかしヒト毛盤はわずかな隆起のみで肉眼・HE像ともに同定が難しく、ヒト毛盤の構造・機能解析の大きな障害となっている。申請者のグループはこれまでに、ヒト毛盤を光学顕微鏡(光顕)と走査型電子顕微鏡(走査電顕)を用いて形態学的特徴を解析してきた。ヒト毛盤を太い表皮陵に囲まれた明瞭な構造として容易に識別できることを初めて明らかにし、メルケル細胞・神経複合体の観察の観察に成功した。また解剖検体を用いて前腕と腹部で毛盤の大きさと密度を比較し、毛盤の大きさと分布には部位差が存在することを初めて明らかにした。神経終末は複数のメルケル細胞に分布し、毛盤表皮内に侵入する終末も観察された。毛盤の表皮陵の陥凹に一致して毛細血管のループが認めることも明らかにした。本研究では、ヒト毛盤の形態をさらに詳細に解析し、非侵襲的に同定する方法を確立する。加えて毛盤の機能的な面において、かゆみや痛覚への関与について形態学的な観点から検討する

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

構造解析に遅れが生じている。採取された皮膚は酵素処理し、表皮と真皮を剥離させる。剥離した表皮を真皮側より走査型電子顕微鏡で観察することで、3次元的な構造を明らかにすることができる。また観察後に樹脂包埋することで、切片像を透過型電子顕微鏡観察することができる。酵素処理する際の標本は生標本である必要があり、処理には習熟を要する。
試料の作成、解析には時間がかかるものの、統計的な結果を出すために収集をすすめている。

今後の研究の推進方策

毛盤部には特徴的な毛細血管が存在することが分かっている。通常、真皮乳頭部には毛細血管のループが皮膚表面に対し垂直方向に走行する。毛盤部ではこのループ状の血管が太く円形に配置し、また中央部には血管が認められず、白色調の領域として観察される。この所見が毛盤の非侵襲的な同定に最も適していると考え、現在数の蓄積と、血管カメラ像と走査電顕像の対比を行っている。また毛盤部を走行する無髄神経線維の密度は、個体によって差がみられる。各種疾患(アトピー性皮膚炎や乾癬)により、毛盤の形態や数に違いがあるか明らかにする。
得られたデータを統計的に解析し、疾患や部位毎の有意差を求める。

次年度使用額が生じた理由

使用期限のある検査キットや抗体の購入に使用予定。

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公開日: 2022-12-28  

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