|
外界から皮膚を守る皮膚バリア機能に生まれつき障害を有する,遺伝性角化異常症において,皮膚細菌叢(マイクロバイオーム)が与える影響に着目した。遺伝性角化異常症患者の皮膚では,健常人の皮膚と比較して,バリア機能の障害から皮膚炎を起こしやすく,細菌の侵入が容易となるため皮膚感染症に罹患しやすい。本研究では遺伝性角化異常症において,16SrRNA解析の手法を用いて皮膚マイクロバイオームの解析を行うことで,細菌叢特異的治療法の開発に直結する基礎的データを得ることを目的とする。
過去に名古屋大学医学部付属病院皮膚科で遺伝子変異を同定し,遺伝子診断がついている遺伝性角化異常症患者を中心に,患者の皮膚を滅菌綿棒(スワブ)で擦過するスワブ法を用いて,皮膚表面の細菌を採取した。検体の採取は,皮膚炎の起きている時期と炎症の治まっている時期,患部と健常部など,複数個所から複数回にわたり,採取を行った。採取した検体は速やかに冷却し,DNAを抽出する。マイクロバイオームの解析方法としては,微生物間で高度に保存されている領域(16SリボゾームRNA(16S rRNA)遺伝子)の16Sアンプリコンの配列データをシークエンスした。次世代シーケンサーはMiSeqを用いて,シークエンスを行った。細菌叢全体の遺伝子情報を解明することで,病型や臨床症状に応じた細菌叢構成の違いや特徴を解明する。患者の皮膚バリア破綻の指標としては,Transepidermal Water Loss(TEWL)を用いた。角層の脂質の構成を評価するためには,セロテープを使用して角層の採取を行う,テープストリッピング法を用いた。
昨年度は、これまでの研究期間に採取した皮膚細菌叢の検体につき、一昨年に条件検討を行ったDNA抽出方法で、DNA抽出を行った。得られたDNAを用いて、MiSeqで16S rRNA解析を行い、菌叢解析を行った。
|