研究課題/領域番号 |
20K17325
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
神谷 浩二 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90790668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 皮膚老化 |
研究実績の概要 |
皮膚の上皮である表皮は、表皮幹細胞によって維持されており、幹細胞での17型コラーゲンの発現低下による皮膚老化の病態が明らかになりつつある。老化モデルマウスであるKlotho欠損マウスは、生後4週齢には各臓器の老化症状をきたし、皮膚でも老化症状が確認される。Klotho欠損マウスの病態の本質は、リン排泄障害によるリン貯留である。本研究では、「体内リン貯留による皮膚老化の病態解明」をテーマに、老化モデルマウスであるKlotho欠損マウスを用いた解析を進めている。高リン血症による17型コラーゲンの発現低下の過程を明らかにし、高リン血症の改善による17型コラーゲンへの影響と皮膚老化症状の改善の過程を明らかにすることを目的とした。
1,Klotho欠損マウスでは、表皮、真皮の萎縮、毛包の退縮などが組織学的な異常所見として確認された。 2,Klotho欠損マウスでは、リン酸カルシウムを吸着する血清蛋白fetuin-Aとの凝集体であるcalciprotein particle(CPP)が病態に大きく関与しているが、皮膚でのCPPの沈着は確認されなかった。 3,通常食で飼育されたマウスから出生したKlotho欠損マウスでは、出生時より表皮幹細胞での17型コラーゲンの発現低下が確認された。 4,低リン食で飼育されたマウスから出生したKlotho欠損マウスでは、出生時に表皮幹細胞での17型コラーゲンの発現が維持されていた。 5,Ker-CT細胞を用いてSA-β-Gal活性を調べた結果、リン濃度の上昇とともに活性がみられた。 6,マイクロアレイを用いた網羅的発現解析を行い、WTマウスとKlotho欠損マウスでの発現の違いを比較検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大による影響で研究が遅延した。また、マイクロアレイを用いた発現解析のデータ解析に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイを用いた発現解析の結果より、表皮幹細胞である17型コラーゲンだけでなく、真皮幹細胞に注目して、Klotho欠損マウスでの発現を検討する。また、高リン血症による影響や、高リン血症の改善による影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究が遅延したため。
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