研究課題/領域番号 |
20K17327
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
鹿毛 まどか 城西大学, 薬学部, 助教 (40776324)
|
研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 皮膚バリア機能 / アトピー性皮膚炎 / 乾癬 / ヒアルロン酸オリゴ糖 |
研究実績の概要 |
皮膚バリア障害はアトピー性皮膚炎や乾癬を始めとする様々な皮膚疾患の発症要因になるが、効率的・効果的な治療薬はなく、皮膚バリアの強化にはスキンケアによる保湿が重要とされている。本課題では四糖ヒアルロン酸オリゴ糖(HA4)の皮膚疾患に対する有効性を評価している。当該年度は、HA4の病態モデルマウスへの皮膚適用における皮膚バリア機能の評価した。 アトピー性皮膚炎モデルマウスを特殊な給餌により作製した。HA4を塗布して3週間経時的に角層水分量および経表皮水分損失量を測定することでバリア機能を評価した。その結果、わずかな回復はみられたものの顕著な回復ではなかったため、方法を検討する必要がある。今後はHA4の塗布開始時期も含め、塗布量や試験期間の検討を行い、バリア機能およびバリア機能関連因子(フィラグリンなど)を評価する予定である。 乾癬モデルマウスはイミキモドを塗布することで作製した。HA4を塗布して1週間経時的に角層水分量および経表皮水分損失量を測定することでバリア機能を評価した。有毛マウスを使用したため試験期間が限られてしまい、1週間ではバリア機能の回復はみられなかった。今後は試験期間中に毛剃りを挟んで実施するなど、方法を再検討する。また、HA4は受動拡散で皮膚を透過するため、全身循環に入ることが予想される。そのため、血液を採取し、IL-17aなどの乾癬に特異的なサイトカイン量を測定する予定である。また、皮膚切片を作製して、皮膚形態の観察および免疫染色による免疫細胞の遊走やサイトカイン量を評価する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたマウスの入手が困難で病態モデルマウスの作製方法を変更して実施したため、方法の最適化の検討に時間を要した。 産休育休明けで、子供の体調不良などにより研究時間の確保が難しく思うように進められなかった。月齢があがり体調も落ち着いてきたので、家族の協力のもと研究を進めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
病態モデルマウスを作製してHA4塗布によるバリア機能回復を評価するとともに、皮膚および血液サンプルを採取し、アトピー性皮膚炎マーカー(インターフェロン(IFN) -γなど)、または乾癬マーカー(インターロイキン(IL) -17aなど) を免疫組織染色法により染色し、in vitroでのバリア機能および炎症反応を評価する予定である。 また、正常ヒト表皮ケラチノサイトにおけるHA4の炎症反応に及ぼす影響を評価する予定である。さらに、モデルマウス皮膚からケラチノサイトを初代培養し、HA4刺激によるセラミド代謝関連酵素(セラミド合成酵素など)、ケラチノサイト特有の分化マーカー(フィラグリンなど)、CE構成因子(ロリクリンなど)、結合型セラミド生成関連因子(PNPLA1など) といった皮膚機能に及ぼす影響も検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
育児により研究時間の確保が難しく、思うように研究が進められなかった。次年度は家族の協力のもと、研究時間を確保して進めていきたい。当該助成金は請求した助成金と合わせ、主に消耗品として次年度に使用する予定である。
|