研究課題
アトピー性皮膚炎や乾癬は皮膚科領域において代表的な慢性炎症性皮膚疾患である。一方、慢性経過をたどることから、近年では皮膚の炎症を介した全身臓器に及ぶ影響についての研究が盛んに行われている。アトピー性皮膚炎や乾癬といった炎症性皮膚疾患には、様々な生活習慣病や炎症性疾患、冠動脈疾患との関連も報告されており、こうした治療を適切に選択しながら、合併症を予防することは今後対応が求められる課題であるが、詳細なメカニズムについては現在も検討されている最中である。このような中で、それら炎症性皮膚疾患と骨粗鬆症との関わりについて疫学調査が最近報告されている。また申請者の実診療の場においても、慢性経過をたどっている重度の皮膚疾患患者では、骨粗鬆症を発症する割合が高い事を実感していた。そうした診療現場での実経験ならびに過去の疫学調査から申請者は、「皮膚と骨との間で綿密なクロストークがあるのではないか?」という一つの課題を見出した。その問いに対して申請者は免疫学的手法を用いてそのメカニズムを明らかにしようと考えた。アトピー性皮膚炎や乾癬に代表される炎症性皮膚疾患は、近年、生物学的製剤や全身療法の進歩により、これまでの既存治療で治療困難であった重症例においても、寛解を得ることが可能となりつつある。その一方で、炎症性皮膚疾患のコントロールにおいては、生活習慣や合併症にも目を向けた治療が求められるようになってきている。アトピー性皮膚炎や乾癬を有する患者は健常者と比較してより若年での骨粗鬆症の発症リスクが高くなるとするいくつかの疫学調査報告があり、皮膚炎症と骨とにはクロストークによる免疫応答が存在することが示唆される。しかし、炎症性皮膚疾患がどのように骨に作用するかなどの病態学的な機序については解明されていない点が多い。イミキミドを塗布して乾癬のモデルマウスを作成し、CTで骨の評価を行った。
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