研究課題/領域番号 |
20K17336
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日高 高徳 東北大学, 大学病院, 医員 (80781575)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Ah受容体 / 皮膚扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度に引き続きDMBA (7,12-dimethylbenz(a)anthracene) -TPA (12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate) 化学発がんモデルを立ち上げるための準備を実施した。発がんモデルに利用するAhRflox/flox::Krt5-CreERT2マウスは昨年度に作出していたが、その後にマウス飼育施設の移転および飼育スペースの縮小などが重なり、目的とするジェノタイプを有するマウスの繁殖が滞る事態に陥った。しかし、2022年よりマウスの順化および飼育スペースの拡充があったことでマウスの繁殖が進み、本年度中にAhRflox/flox::Krt5-CreERT2マウスのAhRノックダウン効率を確認するために用いる試料のサンプリングを終えることができた。現在、ノックダウン効率を確認中で、表皮でのAhR遺伝子のノックダウンが確認でき次第、発がんモデルの作出を開始する予定である。 次に、in vivoで確認できた事象をin vitroで検証するために、代表的なヒト皮膚扁平上皮癌の細胞株であるHaCaT細胞株に対して、AhRノックアウト細胞の樹立を再度試みた。そこで、AhR遺伝子の新たな標的部位を標的としたガイドRNAを再設計し、Crispr-Cas7システムを用いてAhR遺伝子のノックアウトを試みた。しかし、前回同様にAhRの標的遺伝子であるCYP1A1の発現レベルを用いたスクリーニング系で、AhRがノックアウトされていると考えられるCYP1A1の発現が低下した細胞のクローンを残念ながら得ることができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は遺伝子改変マウスを用いた実験を主体として計画しているものの、本年度にマウス飼育施設の改修工事に伴う、飼育施設の移転が実施された。結果、飼育環境の変化によると考えられる繁殖および生育の不良と、飼育スペースの大幅な縮小により、実験に用いることに適したマウスが十分数得られなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に生じたマウス飼育の問題については、飼育スペースの拡充を要望し、実際に2022年より飼育スペースを拡充頂くことで解決したため、現在マウス実験を鋭意進めている段階である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の主体をなすマウスを用いた実験が遅延したことで、特に使用額が大きくなるRNA-seq等の実験が延期となり、高額な次年度使用額が生じることとなった。しかし、本年度は同実験系を実施する予定なので、翌年度分に合わせて繰り越しで今年度分を使用させていただく予定である。
|